量子閉じ込め効果とは、半導体を数nm程度まで小さく(薄く、細く)すると、電子や正孔が狭い空間に閉じ込められ、とれるエネルギーがとびとびの値に限られて、バンドギャップが大きくなるなど、元の材料とは違う性質が現れる現象です。電子の波の長さ(ド・ブロイ波長)や、電子と正孔の組(励起子)の大きさと同じくらいまで寸法が小さくなると、はっきり現れます。
閉じ込める方向の数によって、薄い膜(量子井戸)、細い線(量子細線)、小さな粒(量子ドット)に分けられます。量子ドットでは粒が小さいほどバンドギャップが大きくなり、同じ材料でも粒の大きさを変えるだけで発光の色を変えられます。この性質は、量子ドットを使ったディスプレーの色の変換に使われており、量子ドットの研究は2023年のノーベル化学賞の対象になりました。
最先端のトランジスタでも量子閉じ込め効果は無視できません。GAAのナノシートやFinFETのフィンの厚さが5nm前後になると、チャネルのエネルギーの準位が上がってしきい値電圧が変わり、厚さのわずかなばらつきが特性のばらつきになります。二次元材料のように原子数層の厚さの材料では、層の数によってバンドギャップが大きく変わります。