結晶欠陥(格子欠陥)とは、原子が規則正しく並んだ結晶の中で、その周期的な配列が乱れている箇所のことです。現実の結晶に欠陥のまったくないものは存在せず、半導体では、欠陥の種類と量をデバイスに害のない範囲に抑えることが、結晶成長と熱処理の大きな目的になります。
結晶欠陥は、乱れが広がる次元によって4つに分類されます。原子1個分の乱れである点欠陥(0次元)、線に沿って続く転位(1次元)、面に沿って広がる積層欠陥・双晶・粒界(2次元)、体積を持つ析出物やボイド(3次元)です。
点欠陥は熱平衡の状態でも一定量が必ず存在し、温度が高いほど増えます。一方、転位や積層欠陥は熱平衡では存在しない欠陥で、結晶成長時の熱応力、格子定数の異なる材料の積層、酸化やイオン注入による点欠陥の過剰などが原因で生じます。これらは互いに関係しており、過剰な点欠陥が集まって転位ループや積層欠陥、ボイドになるというように、小さな欠陥が大きな欠陥の起点になります。
結晶欠陥の多くはデバイスに悪影響を与えます。欠陥の周囲では原子の結合が乱れてバンドギャップ中に準位ができ、それがキャリアの再結合中心やトラップとなって、pn接合のリーク電流を増やしたり少数キャリアのライフタイムを縮めたりします。転位に沿って金属不純物が析出すると、局所的な電流経路になることもあります。
一方で、欠陥を積極的に利用する技術もあります。CZシリコンの酸素析出物をウェハ内部に作り、金属不純物を捕まえるゲッタリングはその代表です。また、ポリシリコンや銅配線のような多結晶材料では、粒界の量と性質が抵抗や信頼性を左右するため、結晶粒の大きさの制御が重要になります。