Grown-in欠陥(成長時導入欠陥)とは、CZ法やFZ法でシリコン単結晶を育てる過程で、結晶が冷えていく間に導入される微小な欠陥の総称です。結晶が固まる時点で取り込まれた過剰な点欠陥(空孔や格子間シリコン)が、冷却中に集まって形成されます。ウェハに加工される前から結晶の中にあるため、デバイス工程では基本的に取り除けない欠陥です。
どちらの点欠陥が過剰になるかは、結晶の引き上げ速度 V と、成長界面近くの温度勾配 G の比 V/G で決まります(ボロンコフの理論)。V/G がおよそ0.13 mm²/(min·K) の臨界値より大きいと空孔が、小さいと格子間シリコンが優勢になります。空孔が優勢な領域では空孔が集まって八面体のボイド(COP)ができ、格子間シリコンが優勢な領域では格子間原子が集まって転位クラスタができます。
両者の境界付近には、ウェハを酸化するとリング状に積層欠陥が現れるOSFリングと呼ばれる領域があります。V/G は結晶の中心と外周で異なるため、ウェハ上では、COPの多い中心部、OSFリング、その外側の無欠陥領域や転位クラスタの領域というように、同心円状の分布として観察されます。
COPはゲート絶縁膜の耐圧を低下させ、転位クラスタは接合リークなどを招くため、いずれもデバイスにとって有害です。とくに転位クラスタは大きく害が大きいため、かつてはやや空孔が優勢な条件で結晶を育て、冷却条件でCOPを小さくする方法が一般的でした。
現在は、V/G を臨界値の近くに精密に保ち、COPも転位クラスタも含まない無欠陥結晶を育成する技術が確立しています。これに加え、水素やアルゴン雰囲気で高温アニールして表層のCOPを消すアニールウェハや、COPのない層を表面に成長させるエピタキシャルウェハも、Grown-in欠陥への対策として用途に応じて使い分けられています。