拡散長とは、半導体に注入された少数キャリアが、再結合して消えるまでの間に、拡散によって平均どれくらいの距離を進めるかを表す長さです。拡散係数をD、少数キャリアの寿命をτとすると、L=√(Dτ)で表されます。少数キャリアの密度は、注入された場所から離れるにつれて、拡散長ごとにおよそ1/e(約37%)に減っていきます。
拡散長は、少数キャリアを使うデバイスの性能を左右します。太陽電池では、光で生まれた少数キャリアが、再結合する前にpn接合まで拡散してたどり着いたときだけ電流になるため、拡散長がウェハの厚さより十分長いことが求められます。バイポーラトランジスタでは、ベースの厚さを拡散長よりずっと薄くすることで、エミッタから注入されたキャリアの大部分をコレクタまで届けます。
拡散長は、結晶の品質の指標にもなります。金属の汚染や結晶欠陥があると、それが再結合の中心になって寿命τが短くなり、拡散長も短くなります。高品質なシリコンウェハでは拡散長が数百µm〜1mm程度に達することもありますが、汚染があると大きく短くなります。表面光起電力(SPV)法などで、ウェハの拡散長を測って鉄などの汚染を評価します。