理想係数(n値)とは、ダイオードの実際の電流と電圧の関係が、理想的なダイオード方程式からどれだけずれているかを表す数値です。ダイオード方程式I=Is{exp(qV/nkT)−1}の中のnで、理想的なダイオードでは1になり、実際にはおおむね1から2の間の値をとります。順方向の電流を対数で縦軸に、電圧を横軸にとったグラフの傾きから求めます。
nが1に近いのは、電流が主に少数キャリアの拡散で流れているときです。空乏層の中で電子と正孔が再結合して流れる電流(再結合電流)が主になるとnは2に近づきます。結晶の欠陥や界面の準位、汚染が多いと再結合電流が増えるため、理想係数は接合の品質の目安になります。大きな電流ではキャリアの注入が増えたり、直列の抵抗の影響が出たりして、さらにずれます。
ショットキーバリアダイオードでは、理想係数は障壁の高さの均一さや界面の状態の指標になり、1に近いほど良い接合とされます。太陽電池の評価でも、電流と電圧の特性から理想係数と飽和電流を求めて、再結合による損失の大きさを見積もります。理想係数が2を大きく超える場合は、トンネル電流や接合の不良など別の仕組みを疑います。