アインシュタインの関係式とは、半導体の中のキャリアの拡散係数Dと移動度μが、D=μkT/qという簡単な比例の関係で結ばれていることを示す式です。kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷で、kT/qは熱電圧と呼ばれ、室温(300K)で約26mV(0.0259V)です。1905年にアインシュタインがブラウン運動の研究で導いた関係を、半導体のキャリアに当てはめたものです。
移動度は電界に引っ張られたときの動きやすさ(ドリフト)、拡散係数は濃度の差で広がっていくときの広がりやすさ(拡散)を表す値です。どちらも、キャリアが結晶の中で格子の振動や不純物にぶつかる頻度で決まるため、一方が分かればもう一方も分かります。たとえばシリコンの電子の移動度を1,400cm²/V·sとすると、拡散係数は約36cm²/sになります。
この関係があるため、半導体の電流をドリフト電流と拡散電流の和で表すときに、必要なパラメータを移動度だけにまとめられます。少数キャリアの拡散長L=√(Dτ)を求めるときにも使われます。成り立つのは熱平衡に近い状態で、不純物が非常に多い縮退半導体や、強い電界でキャリアが高いエネルギーを持つ状態では補正が必要です。