多数キャリアとは、半導体の中で数が多いほうのキャリア、少数キャリアとは数が少ないほうのキャリアのことです。リンなどのドナーを加えたn型半導体では電子が多数キャリア、正孔が少数キャリアになり、ホウ素などのアクセプタを加えたp型半導体ではその逆になります。熱平衡では、両者の密度の積が一定になる(質量作用の法則)ため、多数キャリアが増えるほど少数キャリアは減ります。
数が少ないからといって、少数キャリアが重要でないわけではありません。pn接合ダイオードやバイポーラトランジスタは、接合を越えて反対側に注入された少数キャリアが、再結合して消えるまでに拡散して進むことで電流が流れます。そのため、少数キャリアが消えるまでの時間(少数キャリア寿命)と進める距離(拡散長)が、これらのデバイスの性能を決めます。
一方、MOSFETは多数キャリアだけで動くユニポーラ型のデバイスで、少数キャリアの寿命の影響を受けにくく、高速にスイッチングできます。パワー半導体でも、IGBTやpinダイオードは少数キャリアの注入を使って抵抗を下げる代わりに、オフにするときに残った少数キャリアを取り除く時間(逆回復)がかかります。シリコンウェハの品質を評価するときにも、少数キャリアの寿命がよく測られます。