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最終更新 2026-10-28

質量作用の法則とは(np積一定)

Mass Action Law (np = ni²)

質量作用の法則とは、熱平衡状態の半導体で、電子の密度nと正孔の密度pの積が不純物の量によらず一定になる関係で、np=ni²と書きます。n型シリコンにリンを1×10¹⁶cm⁻³加えると、正孔の密度はni²/n=1×10⁴cm⁻³まで下がります。多数キャリアから少数キャリアの密度を求めるときの基本式です。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ
  6. 出典・参考資料

定義・解説

質量作用の法則とは、熱平衡状態にある半導体では、電子の密度nと正孔の密度pの積が、不純物の量に関係なく一定(真性キャリア密度niの2乗)になるという関係です。式で書くとnp=ni²で、「np積一定の法則」とも呼ばれます。もともとは化学反応の平衡を表す法則で、半導体では電子と正孔が生まれる反応と消える反応(再結合)のつり合いとして同じ形が成り立ちます。

この関係を使うと、多数キャリアから少数キャリアの密度を簡単に求められます。たとえば室温のシリコン(ni≒1×10¹⁰cm⁻³)にリンを1×10¹⁶cm⁻³加えたn型半導体では、電子の密度nはほぼ1×10¹⁶cm⁻³で、正孔の密度はp=ni²/n=1×10⁴cm⁻³と、電子の1兆分の1になります。不純物を加えて一方のキャリアを増やすと、もう一方は同じ割合で減るということです。

成り立つのは熱平衡の状態だけで、光を当てたり電流を流したりしてキャリアを外から注入しているときはnp>ni²に、空乏層のようにキャリアが引き抜かれている領域ではnp<ni²になります。niは温度とバンドギャップで大きく変わるため、高温ではnp積も急に大きくなります。pn接合の電流やトランジスタの特性を計算するときの出発点になる、半導体物理の最も基本的な関係の1つです。

図解

真性キャリア密度の確認、多数キャリア密度の決定、np=ni²の適用、少数キャリア密度の算出の流れ

図をタップで2倍に拡大

熱平衡状態でのみ成り立つ。キャリアを注入している間は np>ni² になる。

よくある質問(FAQ)

質量作用の法則が成り立たないのはどんなときですか?
光を当てたり、pn接合に順方向の電圧をかけたりしてキャリアを外から注入しているときは、np積がni²より大きくなります。逆に空乏層のようにキャリアが追い出されている領域では小さくなります。熱平衡、つまり外から何も加えずに温度が一定の状態でだけ成り立ちます。
niはどのくらいの値ですか?
シリコンの真性キャリア密度niは、室温(300K)で約1×10¹⁰cm⁻³です(文献により1.0〜1.5×10¹⁰cm⁻³)。バンドギャップの大きいGaAsでは約2×10⁶cm⁻³、SiCではさらに桁違いに小さくなります。温度が上がると急激に増えます。

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出典・参考資料

  1. HyperPhysics(ジョージア州立大学)「Doped Semiconductors」(2026/10/28 確認)