sp3混成軌道とは、原子の最も外側にある1つのs軌道と3つのp軌道が混ざり合って、同じ形と同じエネルギーを持つ4つの軌道に作り変えられたものです。4つの軌道は、互いに最も離れた方向、つまり正四面体の頂点の方向を向き、軌道どうしのなす角は約109.5°になります。炭素、シリコン、ゲルマニウムなど、外側に4個の電子を持つ原子でよく見られます。
シリコンの結晶では、各原子のsp3混成軌道に電子が1個ずつ入り、隣の原子の軌道と電子を出し合って4本の共有結合を作ります。この正四面体の形の結合が規則正しく連なったものがダイヤモンド構造で、シリコンの配位数が4になる理由です。結合を作るとき、すべての電子が結合に使われるため、電気を運ぶ自由な電子がなく、純粋なシリコンは室温では電気を通しにくい性質になります。
同じ炭素でも、s軌道1つとp軌道2つが混ざったsp2混成軌道では、平面の上に120°の角度で3本の結合を作り、グラフェンや黒鉛のような層状の構造になります。結晶の表面や欠陥のところでは、sp3混成軌道の一部が相手を見つけられずに余り、ダングリングボンド(未結合手)になります。これが界面の欠陥や表面の準位の原因になるため、水素で終端したり酸化膜で覆ったりして減らします。