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最終更新 2026-10-28

臨界膜厚とは

Critical Thickness

臨界膜厚とは、格子定数の違う基板の上に結晶の膜を成長させるとき、基板に合わせてひずんだまま、転位という欠陥を作らずに成長できる最大の厚さです。格子不整合が大きいほど薄くなり、シリコンの上のゲルマニウム20%のSiGeでは十数nm〜数十nm程度が目安です。GAAの多層膜の設計にも使われます。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

臨界膜厚とは、格子定数の違う基板の上に結晶の膜を成長させるとき、膜が基板に合わせてひずんだまま、欠陥(ミスフィット転位)を作らずに成長できる最大の厚さのことです。膜が薄いうちは、ひずみをため込んでも転位を作るよりエネルギーが低いので欠陥ができませんが、厚さが臨界膜厚を超えると、ひずみを解消するために界面に転位が入り始めます。

臨界膜厚は、格子不整合が大きいほど薄くなります。理論的には、マシューズとブレイクスリーが転位にかかる力のつり合いから導いた式(マシューズ・ブレイクスリーの式)がよく使われます。シリコンの上のSiGeでは、ゲルマニウムの割合が20%程度なら臨界膜厚は十数nm〜数十nm、ゲルマニウム100%では数nm程度になります。

ただし、成長の温度が低い場合などには、臨界膜厚を超えてもすぐには転位が入らず、ひずんだ状態が保たれる準安定な領域があります。この状態は、後の工程で温度が上がると緩和して転位ができることがあります。GAA(ナノシート)トランジスタを作るためのシリコンとSiGeを交互に重ねた多層の膜では、全体のひずみが臨界膜厚の条件を超えないように、各層の厚さと組成を設計します。

図解

薄い膜のひずみ、ひずみエネルギーの蓄積、臨界膜厚の超過、転位によるひずみの緩和までの流れ

図をタップで2倍に拡大

低温成長では臨界膜厚を超えてもひずみが残る準安定な領域がある。

よくある質問(FAQ)

臨界膜厚を超えるとどうなりますか?
膜にたまったひずみのエネルギーが大きくなり、基板との界面にミスフィット転位という欠陥ができて、ひずみが緩和されます。転位の一部は膜の表面まで貫き(貫通転位)、デバイスのリーク電流や信頼性の低下の原因になります。
準安定な状態とは何ですか?
低い温度で成長させた膜では、理論上の臨界膜厚を超えても転位が入るのに時間がかかり、ひずんだまま残っている状態のことです。見かけ上は欠陥がありませんが、後の工程で高い温度にさらされると、転位が入って緩和することがあるため注意が必要です。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 山梨大学 鍋谷暢一「結晶工学特論 第3回目」(2026/10/28 確認)