格子不整合(格子ミスマッチ)とは、基板の上に別の材料の結晶を成長させる(ヘテロエピタキシャル成長)とき、基板と膜の格子定数(原子の間隔)が違っていることです。違いの大きさを格子不整合度と呼び、f=(a膜−a基板)/a基板で表します。たとえばシリコンとゲルマニウムの格子不整合度は約4.2%です。
格子不整合があっても、膜が十分に薄いうちは、膜の結晶が基板の原子の間隔に合わせて伸び縮みし(ひずみ)、欠陥のない膜になります。このひずみは、トランジスタの性能を上げるひずみシリコン技術などに意図的に使われます。しかし膜が厚くなってひずみのエネルギーがたまると、ある厚さ(臨界膜厚)を超えたところで、ひずみを解消するために界面にミスフィット転位という欠陥ができ、そこから膜の中を貫く転位が広がります。
格子不整合が大きい組み合わせほど、欠陥の少ない膜を作るのが難しくなります。シリコン基板の上のGaN(不整合が約17%)では、AlNなどのバッファ層を挟んだり、組成を少しずつ変えた層を重ねたりして、欠陥を減らし、ひずみによる反りや割れを防ぎます。サファイアやSiCの基板の上のGaNも、格子不整合と熱膨張の違いをいかに吸収するかが、結晶の品質を決める大きな課題です。