薄膜応力・ウェハ反り 計算ツール(Stoney の式)
要点
薄膜の応力は Stoney の式 σ = [Es/(1−νs)]·ts²/(6tf)·Δ(1/R) で、膜の弾性率を知らなくても成膜前後の反りの変化から求められます。引張応力ではウェハは凹に、圧縮応力では凸に反ります。300mm ウェハに 500nm の膜を付けたとき、応力 1GPa は約300µm近い反りに相当します。
反りの測定値から膜応力を求める(Stoney の式)
膜応力 σf55.3MPa
応力の種類引張応力(ウェハは凹に反る)
応力 × 膜厚(膜力)27.7N/m
成膜による曲率半径の変化-653.3m
基板の反りは成膜前後の差分で評価します(初期反りの差し引き)。凸(中心が上がる)を正として入力してください。応力は引張を正、圧縮を負で表示します。
熱応力(成膜温度から室温に戻したときの熱膨張差)
熱応力 σth177.3MPa
この応力で 500 nm 成膜したときの 300mm ウェハの反り-55.2µm
膜の熱膨張係数 3.3 ppm/K、基板 2.6 ppm/K、膜の二軸弾性率 325 GPa で計算。実際の膜応力は、この熱応力に成膜条件で決まる真性応力が加わります。
応力と反り量の早見表
| 膜応力 | 200mmウェハの反り | 300mmウェハの反り |
|---|---|---|
| -1000 MPa | 138.4 µm | 311.3 µm |
| -500 MPa | 69.2 µm | 155.7 µm |
| -200 MPa | 27.7 µm | 62.3 µm |
| +200 MPa | -27.7 µm | -62.3 µm |
| +500 MPa | -69.2 µm | -155.7 µm |
| +1000 MPa | -138.4 µm | -311.3 µm |
膜応力が問題になる場面
薄膜には成膜時の原子の詰まり方で決まる真性応力と、成膜温度から冷えるときの熱膨張差による熱応力が残ります。膜が縮もうとすれば引張応力でウェハは凹に、伸びようとすれば圧縮応力で凸に反ります。Stoney の式は、この反りの変化から膜の弾性率を知らなくても応力を求められるのが特長です。
3D NANDのように数百層の膜を積むデバイスや、厚い窒化膜・金属膜を使う工程では、ウェハの反りが露光の焦点ずれやオーバーレイ誤差、ウェハ搬送エラーの原因になります。裏面に逆向きの応力膜を付けて反りを打ち消す、応力を調整した窒化膜を使う、といった対策が取られています。