平均自由行程(真空)計算ツール
要点
平均自由行程は λ = kT/(√2·πd²p) で圧力に反比例し、窒素なら大気圧で約70nm、1Paで約7mm、10⁻⁴Paで約70mです。平均自由行程が容器寸法より短い粘性流と長い分子流では、配管のコンダクタンスや成膜の段差被覆性が変わります。スパッタやドライエッチングを低圧で行うのは、原子やイオンを散乱させずに直進させるためです。
入力
平均自由行程 λ14 mm
クヌーセン数 Kn = λ/L0.28
流れの領域中間流(遷移流)
分子数密度 n1.21×10¹⁴個/cm³
平均速さ v̄398m/s
表面への入射頻度 Φ1.21×10¹⁸個/cm²·s
単分子層ができるまでの時間828 µs
圧力(Pa換算)0.5Pa
単分子層形成時間は、表面サイト10¹⁵ cm⁻² に入射分子がすべて付着すると仮定した最短の目安です。実際の付着確率は1より小さく、残留ガスの主成分(高真空では水)で変わります。
圧力と平均自由行程(入力した温度での値)
プロセス圧力ごとの平均自由行程
| 圧力の例 | Pa | λ(アルゴン(Ar)) | Kn(L=50mm) |
|---|---|---|---|
| 大気圧 | 1.01×10⁵ | 69 nm | 1.38×10⁻⁶ |
| LPCVD(約0.3 Torr) | 40 | 175 µm | 3.50×10⁻³ |
| ドライエッチング(約10 mTorr) | 1.33 | 5.26 mm | 0.105 |
| スパッタリング(約0.5 Pa) | 0.5 | 14 mm | 0.28 |
| 高真空(10⁻⁴ Pa) | 1.00×10⁻⁴ | 69.9 m | 1,400 |
| 超高真空(10⁻⁷ Pa) | 1.00×10⁻⁷ | 69.9 km | 1.40×10⁶ |
平均自由行程が装置設計を決める
平均自由行程は、気体分子がほかの分子と衝突するまでに進む平均距離で、圧力に反比例します。窒素なら大気圧で約70nm、1Paで約7mm、10⁻⁴Paでは約70mと、真空度によって6桁以上変わります。平均自由行程が容器の寸法より短ければ分子どうしの衝突が支配的な粘性流、長ければ分子が壁から壁へ飛ぶ分子流になり、配管のコンダクタンスの計算式も変わります。
スパッタリングでは、ターゲットから飛び出した原子が基板に届くまでの衝突回数が膜質と段差被覆性を左右します。圧力を下げて平均自由行程をターゲット–基板間距離より長くすると、原子は直進してエネルギーを保ったまま堆積します(ロングスロースパッタ)。ドライエッチングで低圧にするのも、イオンの散乱を減らして垂直に入射させ、異方性を高めるためです。