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最終更新 2026-10-28

キャリア散乱とは(格子散乱・不純物散乱)

Carrier Scattering (Lattice and Impurity Scattering)

キャリア散乱とは、半導体の中の電子や正孔が、格子の振動(フォノン)や不純物などにぶつかって動きを乱される現象です。格子散乱は温度が高いほど、不純物散乱は不純物が多く温度が低いほど強くなり、どちらも移動度を下げます。全体の移動度はマティーセンの規則で組み合わせて求めます。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ
  6. 出典・参考資料

定義・解説

キャリア散乱とは、半導体の中を動く電子や正孔が、結晶の原子の振動や不純物などにぶつかって、進む向きや速さを変えられる現象です。散乱が多いほどキャリアは動きにくくなり、移動度が下がって電気が流れにくくなります。主な散乱には、結晶の格子の振動(フォノン)による格子散乱と、イオン化した不純物の電荷による不純物散乱があります。

格子散乱は、温度が高くなるほど格子の振動が激しくなって強まり、移動度はおおむね温度の−3/2乗に比例して下がります。不純物散乱は、不純物の濃度が高いほど強く、温度が低いほどキャリアの速度が遅く電荷の影響を受けやすいため強まります。そのため、不純物の少ない結晶では高温で格子散乱が、不純物の多い結晶では低温で不純物散乱が主になります。

複数の散乱が同時に働くとき、全体の移動度の逆数は、それぞれの散乱による移動度の逆数の和になります(マティーセンの規則)。MOSFETのチャネルでは、これに加えて、ゲート絶縁膜との界面の凹凸による表面ラフネス散乱や、High-k膜の分極によるリモートフォノン散乱も効きます。微細なトランジスタでは、散乱する前にキャリアが通り抜けるバリスティックな伝導に近づいていきます。

図解

格子散乱と不純物散乱を、相手・強くなる条件・温度依存・主になる場面で比較した表

図をタップで2倍に拡大

全体の移動度は 1/μ=1/μL+1/μI(マティーセンの規則)。

よくある質問(FAQ)

格子散乱と不純物散乱の違いは何ですか?
格子散乱は結晶の原子の振動にぶつかる散乱で、温度が高いほど強くなります。不純物散乱はイオン化した不純物の電荷に引き寄せられたり押しのけられたりする散乱で、不純物が多いほど、また温度が低いほど強くなります。移動度の温度依存性を測ると、どちらが主か分かります。
マティーセンの規則とは何ですか?
複数の散乱が独立に働くとき、全体の移動度の逆数(1/μ)は、それぞれの散乱だけがあるときの移動度の逆数の和になるという規則です。最も強い散乱(移動度が最も小さいもの)が、全体の移動度をほぼ決めることになります。

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出典・参考資料

  1. 立命館大学 藤野毅「半導体工学(6) 半導体のキャリア(2)」(2026/10/28 確認)