フリップチップ(Flip Chip)は、半導体チップの回路形成面(アクティブ面)を下向きにして基板に直接実装する接続技術です。従来のワイヤーボンディング(チップ上面から金属細線で基板に接続)とは異なり、チップの端子(パッド)上に「バンプ」と呼ばれる突起状の接続電極を形成し、基板の電極と直接接合します。
フリップチップの最大の利点は、接続距離が短くなることによる電気的性能の向上です。ワイヤーボンディングでは配線長が数mm〜10mm程度になりますが、フリップチップでは数十〜数百μmと大幅に短縮されます。これにより、伝送遅延・インダクタンス・信号劣化が低減され、高速信号伝送(10GHz以上)が可能になります。また、チップ全面に端子を配置できるため、I/O(入出力)端子数を大幅に増やせます。
バンプ材料には、はんだバンプ(Sn-Ag、Sn-Ag-Cu)、金バンプ(Au stub bump)、銅ピラー(Cu Pillar)バンプが使われます。特に銅ピラーバンプ(Cu Pillarにはんだキャップを設けたもの)は微細ピッチ化と高電流密度対応に優れており、先端ロジック(CPU、GPU、AI SoC)の実装に広く採用されています。
フリップチップ実装はCOB(Chip on Board)、FC-BGA(フリップチップ-ボールグリッドアレイ)パッケージで広く使われるほか、CoW(Chip on Wafer)・WoW(Wafer on Wafer)のような3D/2.5D先端パッケージングへと発展しています。アンダーフィル(チップと基板の隙間に充填する樹脂)の注入は熱ストレス緩和と信頼性確保に必須です。
フリップチップ実装装置の主要メーカーはASMパシフィック(ASMPT)、ベシー(Besi)、東レエンジニアリング、クラインのカウルスなどです。バンプ形成装置(めっき、スパッタ、印刷)ではApplied Materials、東京エレクトロン(TEL)などが関連装置を提供しています。