タングステン(Tungsten)とは、原子番号74、元素記号Wの金属で、融点が約3,422℃とすべての金属の中で最も高く、硬くて重い(密度約19.3g/cm³)のが特徴です。元素記号のWは、ドイツ語名のヴォルフラム(Wolfram)に由来します。半導体では、トランジスタと配線をつなぐコンタクトや配線どうしをつなぐビアのプラグ、メモリのワード線などに使われる、重要な配線材料の一つです。
タングステンの最大の用途はコンタクトプラグです。トランジスタのソース・ドレインやゲートと、その上の銅配線をつなぐ細く深い穴を、六フッ化タングステン(WF₆)を水素やシランで還元するCVDで埋め込みます。タングステンのCVDは、細く深い穴の奥までよく埋まり、高温にも強く、銅のようにシリコンの中へ拡散して素子を汚染する心配も少ないため、トランジスタに最も近い部分の接続に適しています。穴の側壁には密着層と拡散防止を兼ねるチタンや窒化チタンの膜を先に付け、埋め込んだ後に上面の余分な膜をCMPで除きます。
メモリでも、DRAMの埋め込みワード線や、3D NANDで積み重ねたワード線の電極にタングステンが使われてきました。3D NANDでは、積層した犠牲層を抜いた横穴にタングステンを埋め込む工程があり、層数の増加とともにタングステンの使用量が増えています。ただし微細化で配線が細くなると、タングステンは抵抗が高くなり、密着層も場所を取るため、より低抵抗で密着層が要らないモリブデンへの置き換えが進められています。タングステンの鉱石の生産は中国に大きく偏っており、重要鉱物として供給の安定性も注目されています。