真性キャリア密度(ni)とは、不純物をまったく含まない純粋な半導体(真性半導体)の中に、熱のエネルギーだけで生まれる電子と正孔の密度のことです。価電子帯の電子が熱で伝導帯へ飛び上がると、電子と正孔が1組ずつできるため、真性半導体では電子の密度と正孔の密度はどちらもniに等しくなります。シリコンでは室温(300K)で約1×10¹⁰cm⁻³です。
niは、伝導帯と価電子帯の有効状態密度Nc・Nvと、バンドギャップEg、温度Tから、ni=√(NcNv)·exp(−Eg/2kT)で求められます。指数の中にバンドギャップがあるため、バンドギャップが少し大きくなるだけでniは桁違いに小さくなります。SiCやGaNのようなワイドバンドギャップ半導体が高温でも動作できるのは、niが非常に小さく、温度が上がっても熱で生まれるキャリアが不純物の量を超えにくいためです。
温度が上がるとniは急激に増え、シリコンでは10℃上がるごとにおよそ2倍になります。niが加えた不純物の密度に近づくと、n型・p型の区別がなくなって半導体が真性の状態に戻り、トランジスタやダイオードが正しく動かなくなります。pn接合の逆方向のリーク電流もni²に比例して増えるため、niはデバイスの上限温度とリーク電流を決める重要な値です。