ALD 段差被覆・露光量 計算ツール
最終更新:2026-10-07
要点
ALD で深い穴の底まで均一に成膜するには、平坦面の (1 + 19a/4 + 3a²/2) 倍の露光量が必要です(a は穴のアスペクト比、Gordon らのモデル)。アスペクト比50の穴なら平坦面の約4,000倍で、前駆体のパルス時間はアスペクト比のおよそ2乗で延びます。3D NAND や DRAM キャパシタで ALD のスループットが下がる主な理由です。
入力
アスペクト比(深さ÷幅)40.0 : 1
モデルで使う実効アスペクト比 a40.0
1サイクルで吸着させる前駆体の面密度2.78×10¹⁴個/cm²
平坦面を飽和させる露光量5.00×10⁻⁴Pa·s
構造の底まで飽和させる露光量1.3Pa·s
同上(ラングミュア単位)9,710L(10⁻⁶ Torr·s)
平坦面に対する倍率2591 倍
必要な前駆体パルス時間(余裕率込み)259 ミリ秒
平坦面だけなら(余裕率込み)0.1 ミリ秒
Gordon らのモデルは、前駆体が表面で飽和するまで吸着すること、穴の中を分子が壁と衝突しながら進む(分子流)ことを仮定した最小値です。実際の付着確率は1より小さく、副生成物の再吸着や前駆体の分解もあるため、量産条件はモデル値の数倍の露光量で決めるのが普通です。面密度は膜の密度・GPC から逆算した近似値です。
アスペクト比と必要なパルス時間
| アスペクト比 | 平坦面比 | 必要な露光量 | ラングミュア | パルス時間 |
|---|---|---|---|---|
| 1:1 | 7 倍 | 3.6×10⁻³ Pa·s | 27 L | 0.001 秒 |
| 5:1 | 62 倍 | 0.031 Pa·s | 230 L | 0.006 秒 |
| 10:1 | 199 倍 | 0.099 Pa·s | 740 L | 0.020 秒 |
| 20:1 | 696 倍 | 0.35 Pa·s | 2,600 L | 0.070 秒 |
| 30:1 | 1494 倍 | 0.75 Pa·s | 5,600 L | 0.149 秒 |
| 50:1 | 3989 倍 | 2 Pa·s | 15,000 L | 0.399 秒 |
| 75:1 | 8795 倍 | 4.4 Pa·s | 33,000 L | 0.879 秒 |
| 100:1 | 15476 倍 | 7.7 Pa·s | 58,000 L | 1.5 秒 |
| 150:1 | 34464 倍 | 17 Pa·s | 1.3×10⁵ L | 3.4 秒 |
| 200:1 | 60951 倍 | 30 Pa·s | 2.3×10⁵ L | 6.1 秒 |
なぜアスペクト比の2乗で効くのか
ALDは表面が飽和すれば反応が止まるので、時間さえかければ深い穴の底まで同じ厚さで成膜できます。ただし、穴の中では前駆体分子が入口から底へ向かう途中で壁に吸着して消費されるため、底まで届く分子の流れは入口より細くなります。壁の面積は深さに比例し、穴を通り抜けられる分子の割合は深さに反比例するので、必要な露光量はアスペクト比のおよそ2乗で増えます。アスペクト比が10倍になると、パルス時間はおよそ100倍必要です。
3D NANDのメモリホール(アスペクト比50〜100以上)やDRAMのキャパシタ、深いトレンチのライナーでALDが遅くなる主な理由がこれです。装置メーカーは、チャンバー容積を小さくしてパージを短くする、前駆体の流れを工夫する、多数枚を同時に処理するバッチ式で1枚あたりの時間を薄める、といった方法でスループットを確保しています。方式ごとのスループットはALD方式別スループット比較ツールで試算できます。