オーバーレイ・EPE 誤差バジェット計算ツール
要点
独立な誤差要因は二乗和平方根(RSS)で合成されるため、最も大きな要因を少し削るほうが、小さな要因を大きく削るより効果的です。マスクの位置誤差はウェハ上では1/4(4倍レチクル)になります。最先端ノードでは、オーバーレイに CD ばらつきを加えたエッジ配置誤差(EPE)で上下層の接続を管理し、許容値は数nmしかありません。
オーバーレイ誤差の要因(3σ、nm)
オーバーレイ合計(RSS)2.16nm
(すべて同じ向きに重なった最悪値・単純和)4.35nm
最大の要因露光装置(マッチング・レンズ・ステージ)(48.3 %)
エッジ配置誤差(EPE)
EPE(3σ)2.61nm
残りの余裕2.39nm
EPE に占めるオーバーレイの割合68.7 %
各要因が独立で正規分布に従うと仮定した RSS 合成です。要因どうしに相関がある場合(同じ装置・同じ補正モデル)は、RSS より大きくなります。
誤差の内訳
| 要因 | 3σ(nm) | 二乗の割合 |
|---|---|---|
| 露光装置(マッチング・レンズ・ステージ) | 1.50 | 48.3 % |
| プロセス起因(ウェハの反り・変形、CMP) | 1.20 | 30.9 % |
| マスクの描画位置誤差(ウェハ上換算) | 0.75 | 12.1 % |
| 計測の不確かさ | 0.40 | 3.4 % |
| その他(ドリフト・温度など) | 0.50 | 5.4 % |
| EPE:下層の CDU / 2 | 0.75 | 8.3 % |
| EPE:上層の CDU / 2 | 0.75 | 8.3 % |
| EPE:局所 CD ばらつき LCDU / 2 | 1.00 | 14.7 % |
オーバーレイより EPE で管理する時代
誤差バジェットは、全体として許される誤差を、露光装置・マスク・プロセス・計測などの要因ごとに割り振る考え方です。独立な誤差は二乗和で合成されるため、最も大きな要因を少し削るほうが、小さな要因を大きく削るより効果的です。5つの要因のうち1つが全体の半分を占めていることも珍しくありません。
マルチパターニングや EUV の時代になって、パターンの端がどこに来るかは位置ずれ(オーバーレイ)だけでなく、線幅のばらつき(CDU)や、レジストの確率的な揺らぎによる局所ばらつき(LCDU)でも決まるようになりました。そこで、これらをまとめたエッジ配置誤差(EPE)で上下層の接続やショートを管理するのが主流になっています。最先端ノードの EPE 許容値は数nmで、原子数十個分しかありません。