加速係数・故障率(FIT)計算ツール
要点
加速係数は「試験の1時間が使用時の何時間に当たるか」を表し、温度加速ではArrhenius式 AF = exp[Ea/k・(1/Tu − 1/Ts)] で計算します。Ea=0.7eV、125℃試験・55℃使用なら約78倍で、HTOL 1000時間は使用時の約9年に相当します。故障ゼロでも故障率の信頼上限は0にならず、231個×1000時間なら60%信頼水準で約50FITです。
加速係数
既定値はよく引用される目安です(HTOLのEa=0.7eV、Peckモデルの n=2.66・Ea=0.79eV、はんだ接合の温度サイクル m=2〜2.5、銅配線EMの n=2・Ea=0.8〜1.0eV)。実際のEaは故障メカニズムごとに異なり、酸化膜の経時破壊で0.3〜0.7eV、アルミ配線のEMで0.5〜0.7eV程度と幅があります。
故障率(FIT)と MTTF
1 FIT は10⁹デバイス時間あたり1件の故障です。故障ゼロでも信頼上限としての故障率は0にならず、60%信頼水準では χ²=1.833 を使います。JEDEC JESD47の標準的なHTOL(125℃・1000時間・3ロット×77個=231個・故障ゼロ)は、この計算の既定値と同じ条件です。
活性化エネルギー別の加速係数(温度項のみ)
| Ea | 加速係数 | 相当する使用時間 | 年換算 |
|---|---|---|---|
| 0.3 eV | 6.46 | 6,460 時間 | 0.7 年 |
| 0.5 eV | 22.4 | 22,400 時間 | 2.6 年 |
| 0.7 eV | 77.7 | 77,700 時間 | 8.9 年 |
| 0.9 eV | 269 | 2.69×10⁵ 時間 | 30.7 年 |
| 1.1 eV | 934 | 9.34×10⁵ 時間 | 106.6 年 |
加速試験の考え方
半導体の寿命は通常10年以上あり、そのまま試験していては製品化に間に合いません。そこで温度・湿度・電圧・電流密度・温度振幅といったストレスを使用条件より強くかけ、故障メカニズムを変えない範囲で劣化を早めます。そのとき「試験の1時間が使用時の何時間に当たるか」を表すのが加速係数です。
温度加速は反応速度論のArrhenius式に基づき、Eaが大きい故障ほど温度に敏感で加速係数も大きくなります。Eaを実際より大きく見積もると寿命を楽観的に見積もってしまうため、Eaの選び方が試験計画でいちばん議論になる点です。
関連する用語
- 加速モデル(アレニウス則)Acceleration Model / Arrhenius Equation
- 信頼性試験Reliability Test Equipment
- バーンインBurn-In Test
- HAST(高加速寿命試験)HAST (Highly Accelerated Stress Test)
- 温度サイクル試験Temperature Cycle Test (TCT)
- エレクトロマイグレーションElectromigration
- ホットキャリア注入(HCI)Hot Carrier Injection
- 最終テスト(パッケージテスト)Final Test
- 銅配線(ダマシン法)Copper Interconnect / Damascene Process