アダプティブテストとは、あらかじめ固定したテスト項目をすべての製品に一律に適用するのではなく、測定データや履歴に応じてテスト内容・順序・判定基準を動的に変える手法です。テストコストの削減と品質向上を同時に狙う考え方で、テストデータをリアルタイムに解析する基盤の普及とともに実用化が進みました。
代表的な形が判定基準の動的化です。PAT(Part Average Testing)は、規格値による絶対判定に加えて、同一ウェハ内の近傍ダイの分布から統計的な上下限を求め、そこから外れた個体を不良として扱います。規格内には収まっているが周囲と明らかに違う「異常な良品」は潜在不良である可能性が高い、という経験則に基づく手法です。
テスト項目の増減も行われます。ウェハテストの結果が良好なロットでは最終テストの一部項目を省略し、逆に前工程で異常が観測されたウェハには追加のテストやバーンインを課す、といった運用です。ウェハマップ上で不良が集中している領域の周辺ダイだけを重点的に検査するアプローチも、この一種と言えます。
実現の前提は、工程横断でデータがつながっていることです。前工程のプロセスデータ、ウェハテストの測定値、最終テストの結果、そして市場の不良情報までを同一のIDで紐づけて解析する必要があり、データ基盤とトレーサビリティが技術的な土台になります。PDF Solutionsなどがこの領域のソリューションを提供しています。
効果は、テスト時間の削減とDPPMの低減という一見相反する2つの同時達成です。一律に厚いテストをかける代わりに、リスクの高い個体へリソースを集中させるという発想の転換であり、車載向けの厳しい品質要求とコスト圧力の両立を迫られる中で採用が広がっています。