マルチサイト測定とは、1台のテスタで複数のチップを同時に測定する手法です。同時に測る個数を「サイト数」と呼び、16並列・32並列・128並列といった規模で運用されます。テスト工程のコストはほぼテスタの占有時間で決まるため、サイト数を増やすことは1個あたりのテストコストを直接下げる最も効果的な手段です。
実現の前提は、テスタ側のリソースが並列分だけ用意されていることです。各サイトに対して電源(DPS)・デジタルピン・アナログ測定器を割り当てる必要があり、リソースが足りなければ並列度は上がりません。逆にリソースを潤沢に積めばテスタ本体が高価になるため、製品のピン数・測定項目とサイト数の組合せで最適点を探すことになります。
接触側にも制約があります。ウェハテストではプローブカードが同時測定数ぶんのダイに一括で針を当てられる必要があり、針数は数千本に達します。全ての針が均等な荷重で接触する平坦性(プレーナリティ)が保てなければ、接触不良が特定サイトだけに集中します。最終テストでは、ハンドラーが複数個を同時にソケットへ押し当てる機構と、その温度均一性が課題になります。
並列測定に固有の問題がサイト間相関です。サイトごとに配線長・電源インピーダンス・温度がわずかに違うため、同じチップを測っても測定値に系統差が出ます。これを放置すると、特定サイトだけ歩留まりが低い(あるいは不良を見逃す)状態になるため、サイト間差を定期的にモニタし、必要なら補正やハードウェアの調整を行います。
サイト数を上げると、テスタの占有時間は減る一方でインデックスタイム(接触・移動にかかる時間)の比率が上がります。テスト時間が短い製品ほどこの割合が効くため、単純に並列度を上げれば良いわけではなく、テスト項目・接触機構・ハンドラー動作を含めたトータルのスループット設計が必要になります。