六方最密構造(HCP:Hexagonal Close-Packed)とは、球を平らな面に最も密に並べた層を、ABABと2層の周期で積み重ねた結晶の構造です。配位数は12、充填率は約74%で、面心立方格子と同じく、同じ大きさの球を最も密に詰めた構造の1つです。六角柱の単位で考えると、含まれる原子の数は6個です(最小の単位格子では2個)。
六方最密構造をとる金属には、チタン、マグネシウム、亜鉛、コバルト(室温)、ルテニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどがあります。面心立方格子と違い、すべりやすい面の向きが限られるため、変形しにくく加工が難しい金属が多いのが特徴です。半導体では、次世代の配線材料のルテニウムや、ゲート絶縁膜の材料のハフニウム、バリアメタルのチタンなどがこの構造です。
面心立方格子と六方最密構造は、同じ最密の層の重ね方の違い(ABCABCか、ABABか)だけで区別されます。半導体の結晶でも、同じ組み合わせの原子が、層の重ね方の違いで立方晶の閃亜鉛鉱構造と、六方晶のウルツ鉱構造に分かれます。GaNやSiCの結晶の種類(ポリタイプ)も、この層の重ね方の違いで生まれます。