銅(Copper)とは、原子番号29、元素記号Cuの金属で、銀に次いで電気をよく通す(室温の抵抗率は約1.7μΩ・cm)のが特徴です。安価で加工しやすく、電線や電子機器に広く使われています。半導体では、チップの中の配線、パッケージのボンディングワイヤやバンプ、基板の配線、チップどうしの接合など、電気を運ぶほぼすべての場面で中心的な材料になっています。
チップの配線に銅が本格的に使われ始めたのは1997年ごろで、それまではアルミニウムが主流でした。銅はアルミニウム(抵抗率約2.7μΩ・cm)より電気抵抗が低く、電流で原子が動くエレクトロマイグレーションにも強いため、配線の遅延と信頼性を改善できます。一方で、銅はプラズマでエッチングしにくく、シリコンや絶縁膜の中へ拡散して素子を汚染するため、先に絶縁膜に溝を掘って、拡散を防ぐバリアメタルとシード層を付け、電解めっきで銅を埋め込んでCMPで削るダマシン法という新しい作り方が開発されました。銅の汚染を前工程に持ち込まないよう、工場では装置や搬送容器を分けて管理します。
チップの外側でも銅は欠かせません。パッケージでは、金に代わる安価な銅のボンディングワイヤ、フリップチップの銅ピラー、パッケージ基板やプリント基板の配線とその材料の銅箔に使われます。先端パッケージでは、チップどうしの銅の電極を直接接合するハイブリッドボンディングが実用化されています。一方で、配線の幅が十数nm以下になると、粒界や表面での電子の散乱とバリアメタルの厚さのために銅配線の抵抗が大きく上がるため、最も細い配線ではルテニウムやモリブデンへの置き換えが検討されています。