ポリタイプ(結晶多形)とは、同じ組成の物質が、原子の層の積み重ね方だけが違う複数の結晶構造をとることを指します。特にSiC(炭化ケイ素)は、シリコンと炭素の層の積み重ね方の周期が異なる200種類以上のポリタイプを持つことで知られています。代表的なものに、立方晶の3C-SiC、六方晶の4H-SiCと6H-SiCがあり、数字は積み重ねの周期の層の数、アルファベットは結晶系(C=立方、H=六方)を表します。
組成は同じでも、ポリタイプによって電気的な性質が変わります。4H-SiCはバンドギャップが約3.26eVで、電子の移動度が高く方向による違いも小さいため、パワー半導体の基板と素子に最も広く使われています。6H-SiCはバンドギャップが約3.0eVで、かつてはLEDやGaNの成長用の基板に使われました。3C-SiCはバンドギャップが約2.4eVと小さめで、シリコンの上に成長できる特徴があります。
SiCの単結晶を昇華法(PVT法)で成長させるとき、温度や圧力、種結晶の面が少し変わるだけで、狙ったポリタイプとは別のポリタイプが混ざって成長することがあります(ポリタイプの混入)。これはウェハの大きな欠陥になるため、結晶成長の条件の精密な制御が欠かせません。積み重ねの順番が局所的に乱れた積層欠陥も、ポリタイプの一部が局所的に変わったものとみなせます。