ウルツ鉱構造(ウルツ鉱型構造)とは、2種類の原子が交互に並び、それぞれが六方最密構造の骨組みを作って重なった、六方晶の結晶の構造です。名前は、この構造をとる硫化亜鉛の鉱物ウルツ鉱に由来します。閃亜鉛鉱構造と同じく、どの原子も異なる種類の原子4個に正四面体の形で囲まれていますが、原子の層の重ね方がABABの2層周期になっている点が違います。
GaN、AlN、InN、ZnOなど、青色LEDやパワー・高周波のデバイスに使われる窒化物や酸化物の半導体の多くがこの構造です。六方晶なので、結晶の大きさは横方向のaと縦方向(c軸)のcの2つの格子定数で表し、GaNではa≒0.319nm、c≒0.519nmです。基板の上には、ふつうc軸の方向(c面)に成長させます。
ウルツ鉱構造の大きな特徴は、c軸の方向に正と負の偏りがある(極性がある)ことです。GaNではGa側の面とN側の面で性質が異なり、結晶そのものが電気的な偏り(自発分極)を持ちます。AlGaNとGaNを重ねると、この偏りとひずみによる偏り(ピエゾ分極)の差で界面に電子が集まり、HEMTの二次元電子ガスになります。一方、LEDでは偏りが発光効率を下げる原因にもなるため、偏りの小さい面(m面・a面)での成長も研究されています。