閃亜鉛鉱構造(せん亜鉛鉱型構造)とは、ダイヤモンド構造と同じ原子の並び方で、2種類の原子が交互に並んだ結晶の構造です。名前は、この構造をとる鉱物の閃亜鉛鉱(ZnS)に由来します。2種類の原子それぞれが面心立方格子を作り、互いに立方体の対角線の1/4だけずれて重なっていて、どの原子も4個の異なる種類の原子に正四面体の形で囲まれています。
多くのIII-V族の化合物半導体がこの構造をとり、GaAs、InP、GaP、InAs、AlAs、立方晶のSiC(3C-SiC)などが代表例です。シリコンと同じ骨組みなので、ミラー指数などの考え方も同じように使えます。ただし、2種類の原子が並ぶため、たとえばGaAsの(111)面には、Gaだけが出る面とAsだけが出る面があり、結晶の向きによって表面の性質やエッチングの速さが変わります。
同じ組み合わせの原子でも、層の重ね方が六方晶になったものがウルツ鉱構造です。GaNやZnOはふつうウルツ鉱構造ですが、条件によって閃亜鉛鉱構造の結晶も作れます。ダイヤモンド構造が1種類の元素の結晶なのに対し、閃亜鉛鉱構造は2種類の元素の結晶という点が違いで、化合物半導体の基板やエピタキシャル成長を理解するうえで基本となる構造です。