最終更新 2026-10-19

遷移金属ダイカルコゲナイドとは(TMD・MoS2)

Transition Metal Dichalcogenide (TMD)

遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)とは、二硫化モリブデン(MoS2)のように遷移金属1つとカルコゲン元素2つからなる層状の材料で、1層だけでも安定な二次元材料です。グラフェンと違いバンドギャップを持つ半導体で、極薄でも性能を保ちやすいため、GAAやCFETの先の世代でシリコンに代わるチャネル材料として研究されています。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)とは、モリブデンやタングステンなどの遷移金属(M)1つに、硫黄・セレン・テルルなどのカルコゲン元素(X)2つが結びついた、MX2という組成の層状の材料です。代表例は二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化タングステン(WS2)、二セレン化タングステン(WSe2)です。原子3つ分の厚さ(約0.6〜0.7nm)のシートが弱い力で重なった構造で、1層だけをはがしても安定に存在する二次元材料の一種です。

TMDが注目されるのは、グラフェンと違ってバンドギャップを持つ半導体だからです。MoS2の単層では約1.8eVの直接遷移型のバンドギャップがあり、トランジスタとしてはっきりオフにできます。シリコンはチャネルを数nmより薄くすると、表面の凹凸の影響で電子が動きにくくなりますが、TMDはもともと原子数層の厚さで表面に結合の手が余らないため、極薄でも性能を保ちやすいとされます。そのため、GAAやCFETのさらに先の世代で、ナノシートのチャネルをシリコンから置き換える候補として、imec、TSMC、Intelなどが研究しています。

実用化の課題は、300mmウェハ全面に欠陥の少ない単結晶の膜を均一に作ること、金属電極との接触抵抗を下げること、ゲート絶縁膜をきれいに載せること、そしてn型とp型の両方で高い性能を出すことです。成膜には、MOCVDなどの気相成長や、金属膜を硫化・セレン化する方法が検討されています。

図解

MoS2、WS2、WSe2、MoTe2のバンドギャップと特徴の比較
バンドギャップは単層での代表的な報告値。層数で変わる。

よくある質問(FAQ)

TMDとグラフェンの違いは何ですか?
どちらも原子数層の厚さの二次元材料ですが、グラフェンはバンドギャップがほぼゼロで、電流を完全に止められません。TMDはMoS2の単層で約1.8eVのバンドギャップを持つ半導体なので、トランジスタのチャネルとしてオンとオフをはっきり切り替えられます。
MoS2のトランジスタはいつ製品になりますか?
研究機関や大手メーカーが試作を進めていますが、300mmウェハ全面での均一な成膜や、電極との接触抵抗の低減など、量産に向けた課題が残っています。ロードマップでは、2030年代のCFETのさらに先の世代での導入が検討されています。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 物質・材料研究機構(NIMS)「2次元半導体グループ」(2026/10/19 確認)
  2. 応用物理学会「遷移金属ダイカルコゲナイド 六方晶窒化ホウ素のヘテロ積層構造(応用物理 86巻3号)」(2026/10/19 確認)