用語信頼性試験装置半導体テスト装置最終更新 2026-10-07Excel・PDF版

SILC(ストレス誘起リーク電流)とは

Stress-Induced Leakage Current

SILC(ストレス誘起リーク電流)とは、薄い酸化膜に高い電界をかけた後、低い電圧でも流れるリーク電流が増える現象です。電気的ストレスで膜中にトラップができ、電子がトラップを経由してトンネルするために起こります。フラッシュメモリのデータ保持を劣化させ、TDDB(絶縁破壊)の前兆としても評価されます。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ

定義・解説

SILC(ストレス誘起リーク電流)とは、薄いゲート酸化膜やトンネル酸化膜に高い電界をかけ続けた後に、低い電圧でも流れるリーク電流が増える現象です。電気的なストレスで酸化膜の中に欠陥(トラップ)ができ、電子がそのトラップを足がかりにして酸化膜を通り抜けるようになるために起こります。

健全な酸化膜では、低い電圧で流れる電流はごくわずかです。高い電界で電流を流すと、通過する電子のエネルギーで酸化膜中の結合が切れ、膜の中にトラップが生まれます。トラップがあると、電子は一度に酸化膜全体をトンネルしなくても、トラップを経由して2段階でトンネルできる(トラップアシストトンネリング)ため、低電圧領域の電流が大きく増えます。

SILCが最も問題になるのは、フラッシュメモリのトンネル酸化膜です。フラッシュメモリは書き込み・消去のたびに高い電界で電子を酸化膜越しに出し入れするため、書き換えを繰り返すとトラップが増えます。すると、保持しておくべき電荷が低い電界でも少しずつ漏れ出し、データの保持期間が短くなります。これがトンネル酸化膜を約8nmより薄くできない理由の1つとされています。

ロジックのゲート酸化膜でも、SILCは絶縁破壊(TDDB)の前段階として現れます。トラップが増えていき、膜を貫く導電経路ができた時点で絶縁破壊に至るため、SILCの増え方は酸化膜の劣化の進み具合を示す指標として、信頼性評価で測定されます。

評価では、ストレス電圧や一定電流を加えた後に、低い電圧での電流-電圧特性を測り、ストレス前からの増加量を調べます。酸化膜の膜質の改善(窒素の導入など)や、膜厚・電界の設計で、SILCの発生を抑えます。

図解

SILC(ストレス誘起リーク電流)の発生の流れ
酸化膜の劣化の度合いを調べる指標としても使われる。

よくある質問(FAQ)

SILCとTDDBの関係は何ですか?
どちらも電気的なストレスで酸化膜中にトラップが増えることで起こる劣化です。トラップが増えはじめた段階で低電圧のリーク電流が増えるのがSILCで、トラップがつながって膜を貫く導電経路ができ、急に大きな電流が流れるのがTDDB(経時絶縁破壊)です。SILCは絶縁破壊に向かう途中の状態を示す指標になります。
SILCはなぜフラッシュメモリで問題になるのですか?
フラッシュメモリは書き込みと消去のたびに高い電界で電子をトンネル酸化膜越しに出し入れするため、書き換えを重ねるほど膜中にトラップが増えます。トラップが増えると、保持している電荷が低い電界でも漏れ出してデータが失われやすくなります。トンネル酸化膜を薄くしにくい理由の1つです。

設備の製造メーカー

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