クロックゲーティングとは、チップの中で、その時点で使っていない回路へのクロック信号の供給を止めて、無駄な電力の消費を減らす設計の技術です。デジタル回路のフリップフロップ(レジスタ)は、クロックが来るたびに動作するため、値を変える必要がないときでもクロックが届いていれば電力を使います。クロックそのものを止めれば、その回路と、そこへ向かうクロックの配線の電力をなくせます。
クロックの信号は、チップの中のすべてのフリップフロップに休みなく配られるため、クロックの配線網とそれにつながるフリップフロップが、動作時の電力の大きな割合を占めます。クロックゲーティングは、回路の動作の電力を下げる最も基本的で効果の大きい方法の1つとして、ほとんどのデジタルのチップで使われています。
クロックを止めるといっても、ANDゲートで単純に切ると、切り替えの瞬間にひげのような余分なパルス(グリッチ)が出て誤動作の原因になります。そのため、ラッチとゲートを組み合わせた専用のクロックゲーティングセル(ICG)を使い、クロックが安定している間にだけ切り替えます。現在は、論理合成のツールが、回路の記述から値が変わらない条件を見つけて、自動でクロックゲーティングを挿入します。動作の電力ではなく、待機中のリーク電流を減らすには、電源そのものを切るパワーゲーティングが使われます。