最終更新 2026-10-19

クロックゲーティングとは

Clock Gating

クロックゲーティングとは、チップの中で使っていない回路へのクロック信号の供給を止めて、無駄な電力を減らす設計の技術です。クロックの配線網とフリップフロップは動作時の電力の大きな割合を占めるため、効果の大きい基本的な方法です。誤動作を防ぐ専用のセルを使い、論理合成のツールが自動で挿入します。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

クロックゲーティングとは、チップの中で、その時点で使っていない回路へのクロック信号の供給を止めて、無駄な電力の消費を減らす設計の技術です。デジタル回路のフリップフロップ(レジスタ)は、クロックが来るたびに動作するため、値を変える必要がないときでもクロックが届いていれば電力を使います。クロックそのものを止めれば、その回路と、そこへ向かうクロックの配線の電力をなくせます。

クロックの信号は、チップの中のすべてのフリップフロップに休みなく配られるため、クロックの配線網とそれにつながるフリップフロップが、動作時の電力の大きな割合を占めます。クロックゲーティングは、回路の動作の電力を下げる最も基本的で効果の大きい方法の1つとして、ほとんどのデジタルのチップで使われています。

クロックを止めるといっても、ANDゲートで単純に切ると、切り替えの瞬間にひげのような余分なパルス(グリッチ)が出て誤動作の原因になります。そのため、ラッチとゲートを組み合わせた専用のクロックゲーティングセル(ICG)を使い、クロックが安定している間にだけ切り替えます。現在は、論理合成のツールが、回路の記述から値が変わらない条件を見つけて、自動でクロックゲーティングを挿入します。動作の電力ではなく、待機中のリーク電流を減らすには、電源そのものを切るパワーゲーティングが使われます。

図解

クロックゲーティングとパワーゲーティングを、止めるもの・減らせる電力・再開の速さ・データの保持で比較した表
実際のチップでは両方を組み合わせて電力を管理する。

よくある質問(FAQ)

クロックゲーティングとパワーゲーティングの違いは何ですか?
クロックゲーティングは、回路へのクロックの供給を止めて、回路が動くときの電力(動的電力)を減らします。電源はつながったままなので、すぐに再開できます。パワーゲーティングは、回路の電源そのものを切って、待機中に流れるリーク電流による電力も減らしますが、再開に時間がかかり、データを保持する工夫も必要です。
なぜ専用のクロックゲーティングセルを使うのですか?
単純なANDゲートでクロックを止めると、止める信号が切り替わるタイミングによって、短い余分なパルス(グリッチ)がクロックに混じり、フリップフロップが誤動作する恐れがあるためです。専用のセルは、ラッチで切り替えの信号をクロックが安定している間だけ受け付け、グリッチが出ないようにしています。

設備の製造メーカー

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

チップ設計フロー(RTL〜テープアウト) のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Siemens EDA(旧Mentor Graphics)米国TSMC(台湾積体電路製造)台湾

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. Synopsys「What is Low Power Design?」(2026/10/19 確認)