臭化水素(HBr)とは、水素と臭素が結びついた無色の気体で、半導体の製造では、シリコンやポリシリコンをドライエッチングで精密に削るためのガスとして使われます。特に、トランジスタのゲート電極のポリシリコンや、シリコンに浅い溝(STI)を掘る工程で重要なガスです。塩素(Cl2)や酸素と混ぜて使うことが多くあります。
HBrが使われる理由は、下の酸化膜をほとんど削らずにシリコンだけを削れる(選択比が高い)ことと、まっすぐな側壁を作りやすいことです。プラズマの中でHBrから生まれた臭素の原子はシリコンと反応しますが、酸化膜とは反応しにくく、薄いゲート絶縁膜の上で止めることができます。また、反応でできたシリコンと臭素の化合物の一部が側壁に付いて保護膜になり、横に削れるのを防ぎます。
HBrは、空気中の水分と反応して強い酸(臭化水素酸)になるため、腐食性が強く、配管や装置の部品を傷めやすいガスです。水分を完全に取り除いた配管で扱い、漏えいの検知と除害の設備が必要です。PFCのような強い温室効果はないため、温室効果ガスの排出を減らす観点から、一部のエッチングでPFCの代わりに使う検討もされています。