非線形光学とは、レーザーのように非常に強い光が物質に入ったとき、物質の応答(分極)が光の電界に比例しなくなることで現れるさまざまな現象を扱う分野です。代表的なのが、入った光の2倍の周波数(半分の波長)の光が出てくる第二高調波発生(SHG)で、波長1,064nmの赤外線レーザーから532nmの緑色の光を作るのがその例です。
ほかにも、2つの光の周波数の和や差の光を作る和周波・差周波発生、1つの光から波長を連続的に変えられる光を作る光パラメトリック発振、光の強さで屈折率が変わるカー効果などがあります。2倍・3倍の高調波を作るには、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、BBO、KTPなどの非線形光学結晶が使われます。
半導体の分野では、まず検査用の光源で重要です。ウェハやマスクの欠陥検査には、短い波長の光ほど小さな欠陥が見えるため、固体レーザーの光を非線形光学結晶で4倍・5倍の高調波に変換した266nmや213nm、193nmの深紫外光が使われます。また、界面だけから発生する第二高調波を使って、シリコンと酸化膜の界面の電荷や欠陥を非破壊で調べる計測技術もあります。光通信やシリコンフォトニクスでは、薄膜のニオブ酸リチウムを使った高速の光変調器が注目されています。