アバランシェフォトダイオード(APD)とは、光で生じた電子や正孔を、内部で雪崩(アバランシェ)のように増やして、大きな電流として取り出す高感度のフォトダイオードです。降伏電圧に近い大きな逆方向の電圧をかけて使います。
強い電界の中で加速された電子が結晶の原子にぶつかると、新しい電子と正孔のペアを作り(衝突電離)、それらがまた加速されて次のペアを作る、という連鎖が起こります。この仕組みで、光子1個から生じた電子を数十〜数百倍に増やせるため、通常のフォトダイオードでは検出できない弱い光をとらえられます。シリコンのAPDは可視光から近赤外(約400〜1,100nm)に、InGaAsのAPDは光通信の波長(1.3〜1.55μm)に使われます。
降伏電圧を超える電圧をかけて、光子1個で大きなパルスが出るようにしたものをSPAD(単一光子アバランシェダイオード)と呼びます。光子1個を検出できるため、光を当ててから戻るまでの時間で距離を測るLiDAR(dToF方式)や、スマートフォンの測距センサーに使われ、SPADを並べたイメージセンサーも製品化されています。課題は、増やす過程のばらつきによる余分な雑音(過剰雑音)と、降伏電圧が温度で変わるため温度に合わせて電圧を調整する必要があることです。