表面フォノンとは、表面や界面に沿って伝わる格子振動のことです。半導体では、high-k膜の柔らかいイオン的な振動の電界がチャネルまで届き、電子を散乱させて移動度を下げる「リモートフォノン散乱」が問題になります。薄いSiO2の界面層で距離をとり、メタルゲートで振動の電界を遮蔽することで和らげます。
目次5項目
- 定義・解説
- 図解
- よくある質問
- 関連用語
- 比較・違いを学ぶ
定義・解説
表面フォノンとは、結晶の表面や異なる材料の界面に沿って伝わる格子振動(フォノン)のことです。半導体デバイスで特に問題になるのは、ゲート絶縁膜に使うhigh-k膜の中の振動が、界面を越えてチャネルの電子を散乱させる「リモートフォノン散乱(表面光学フォノン散乱)」です。
酸化ハフニウム(HfO2)などのhigh-k膜は、誘電率が高い理由の1つが、原子がイオン的に結合していて柔らかく振動しやすいことにあります。この振動は電気的な揺らぎ(分極)を伴い、その電界が膜の外のチャネルまで届くため、電子や正孔が散乱されて移動度が下がります。SiO2のゲート絶縁膜より、high-k膜のほうが移動度が低くなりやすい主な原因の1つです。
対策として、high-k膜とシリコンの間に薄いSiO2の界面層を残して距離をとる方法や、ポリシリコンの代わりに金属のゲート電極を使い、電子の多い金属で振動の電界を打ち消す(遮蔽する)方法がとられています。HKMG(high-k/メタルゲート)の組み合わせは、ゲートの空乏化を防ぐだけでなく、この散乱を和らげる効果もあります。ただし界面層を厚くするとEOTが増えるため、両立が課題です。
図解
SiO2のゲート絶縁膜では、この散乱はほとんど問題にならない。よくある質問(FAQ)
high-k膜を使うと移動度が下がるのはなぜですか?
主な原因は2つあります。1つはhigh-k膜の柔らかい格子振動の電界がチャネルの電子を散乱させるリモートフォノン散乱、もう1つは膜の中や界面の電荷による散乱です。そのため、high-k膜とシリコンの間に薄いSiO2の界面層を残すのが一般的です。
メタルゲートがフォノン散乱を和らげるのはなぜですか?
金属には自由に動ける電子が多く、high-k膜の振動が作る電界を打ち消す(遮蔽する)働きがあるためです。ポリシリコンのゲートでは電子の数が少なく遮蔽が弱いため、HKMGの組み合わせにすることで移動度の低下を抑えられます。
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