熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)とは、温度が1℃(1K)上がったときに、材料の長さがどれだけの割合で伸びるかを表す値です。単位はppm/K(10⁻⁶/K)がよく使われ、たとえば10ppm/Kの材料は、長さ10mmのものが100℃上がると約10μm伸びます。線の方向の伸びを表す線膨張係数を指すのが一般的です。
半導体のチップとパッケージは、熱膨張係数が大きく異なる材料の組み合わせでできています。目安として、シリコンは約2.6ppm/K、GaAsは約5.7ppm/K、銅は約17ppm/K、アルミニウムは約23ppm/K、鉛フリーのはんだは20ppm/K前後、一般的なプリント基板(FR-4)の面の方向は14〜17ppm/K程度です。封止樹脂は、シリカの充填材を多く入れて熱膨張係数を下げていますが、ガラス転移温度(Tg)を超えると大きく膨張します。製造中や使用中に温度が変わると、こうした差(CTEミスマッチ)によって材料の間に応力が生じます。
熱膨張係数の差は、パッケージの信頼性の問題の多くの根本原因です。チップと基板の差は、はんだ接合を温度が変わるたびに変形させて疲労による亀裂を生み、パッケージや基板の反り(ワーページ)を起こし、チップの割れや樹脂の剥がれの原因にもなります。そのため、チップと基板の間をアンダーフィル樹脂で固めて応力を分散させたり、はんだの高さ(スタンドオフ)を確保したり、シリコンに近い熱膨張係数を持つガラスコア基板やシリコンのインターポーザーを使ったりします。前工程でも、金属の配線とシリコンの差による応力がヒロックやボイドの原因になります。