ジボラン(B2H6)とは、ホウ素2個と水素6個からなる無色の気体で、半導体にホウ素を加えてp型にするドーピングの原料ガスです。シリコンやSiGeのエピタキシャル成長、ポリシリコンのCVD、プラズマドーピングなどで、膜を作りながらホウ素を加えるときに使われます。最先端のトランジスタでは、pMOSのソース・ドレインに埋め込むホウ素を多く含むSiGeの成長に欠かせません。
ジボランは、毒性が強く、空気中で自然に発火することもある危険なガスです。また、常温でも少しずつ分解して、より重いホウ素の水素化物と水素に変わっていく性質があり、時間とともに濃度が変わってしまいます。そのため、水素や窒素で薄めた混合ガスとして供給し、低い温度で保管するなどして分解を抑えます。
イオン注入でホウ素を加える場合は、ジボランよりも、扱いやすい三フッ化ホウ素(BF3)がよく使われます。ホウ素を多く含むBPSG膜のCVDでは、液体の有機ホウ素の原料(TEBなど)が使われるのが一般的です。ジボランは、ほかの特殊高圧ガスと同じく、検知器と遮断弁のあるシリンダーキャビネットで扱い、排気は除害装置で処理します。