用語イオン注入装置拡散炉最終更新 2026-10-10出典 2件Excel・PDF版

ドーピングとは

Doping

ドーピングとは、半導体に微量の不純物(ドーパント)を加えて電気的性質を制御することです。シリコンにリンやヒ素を加えるとn型、ボロンを加えるとp型になり、濃度10¹⁴〜10²⁰cm⁻³の範囲で抵抗率が何桁も変わります。LSIではイオン注入と活性化アニールが主流で、熱拡散やin-situドーピング、プラズマドーピングも使われます。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

ドーピングとは、半導体に微量の不純物(ドーパント)を加えて、電気的な性質を制御することです。純粋なシリコン(真性半導体)は室温ではほとんど電気を流しませんが、リン(P)やヒ素(As)などの5族元素を加えると電子が余ってn型に、ボロン(B)などの3族元素を加えると正孔ができてp型になります。加える量は、シリコン原子数億個に1個から数百個に1個程度(10¹⁴〜10²⁰cm⁻³)とごくわずかですが、この量で抵抗率が何桁も変わります。

ドーピングの方法は主に3つです。1つ目の熱拡散は、拡散炉で900〜1100℃程度に加熱し、POCl₃やBBr₃などのソースから表面に不純物を供給して内部へ拡散させる方法で、現在も太陽電池などで使われます。2つ目のイオン注入は、不純物をイオン化して電界で加速し、ウェハに打ち込む方法で、量(ドーズ)と深さを精密に制御できるため、LSIの主流になっています。打ち込んだ後は熱処理(活性化アニール)で結晶の損傷を回復させ、ドーパントをシリコンの格子位置に置き換えて電気的に働かせます。3つ目は、エピタキシャル成長やCVDの原料ガスにドーパントを混ぜて膜と同時に取り込むin-situドーピングです。このほか、FinFETのような立体構造の側面に均一に入れるプラズマドーピングや、シリコン結晶の引き上げ時に融液へ加えてウェハ全体をp型・n型にする方法もあります。

トランジスタでは、ウェル、ソース・ドレイン、しきい値電圧を調整するチャネル、短チャネル効果を抑えるハローなど、場所ごとに種類・濃度・深さの異なるドーピングを重ねて素子を作ります。濃度を上げるほど抵抗は下がりますが、キャリアの移動度が低下し、シリコンに溶け込める上限(固溶限)を超えると電気的に働かなくなります。ドーピングの結果は、四探針法によるシート抵抗、SIMSによる深さ方向の濃度分布、ホール効果測定によるキャリア濃度で評価します。

図解

n型ドーピングとp型ドーピングの比較(加える元素・キャリア・呼び名)
シリコン原子1億個に1個程度のわずかな量でも、電気的性質は大きく変わる。

関連するデータ・ツール

データ拡散係数一覧(シリコン中のドーパント)

よくある質問(FAQ)

ドーピングの方法にはどのようなものがありますか?
高温で表面から不純物を拡散させる熱拡散、不純物イオンを加速して打ち込むイオン注入、エピタキシャル成長やCVDの原料ガスに不純物を混ぜるin-situドーピング、プラズマ中のイオンを表面に入れるプラズマドーピングなどがあります。LSIでは制御性の高いイオン注入が主流です。
ドーピングの後に熱処理が必要なのはなぜですか?
イオン注入で打ち込んだ直後は、結晶が損傷し、ドーパントも格子の隙間にあって電気的に働いていないためです。熱処理(活性化アニール)で結晶を回復させ、ドーパントをシリコン原子の位置に置き換えることで、初めてキャリアを生み出すようになります。

設備の製造メーカー

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

イオン注入・熱処理・半導体物理・結晶の基礎 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

信越化学工業日本SUMCO日本GlobalWafers(環球晶圓)台湾PSK Holdings韓国Kokusai Electric(国際電気)日本Mattson Technology米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東芝デバイス&ストレージ「1-3. n型半導体」(2026/10/10 確認)
  2. 東芝デバイス&ストレージ「1-4. p型半導体」(2026/10/10 確認)