ドーピングとは、半導体に微量の不純物(ドーパント)を加えて、電気的な性質を制御することです。純粋なシリコン(真性半導体)は室温ではほとんど電気を流しませんが、リン(P)やヒ素(As)などの5族元素を加えると電子が余ってn型に、ボロン(B)などの3族元素を加えると正孔ができてp型になります。加える量は、シリコン原子数億個に1個から数百個に1個程度(10¹⁴〜10²⁰cm⁻³)とごくわずかですが、この量で抵抗率が何桁も変わります。
ドーピングの方法は主に3つです。1つ目の熱拡散は、拡散炉で900〜1100℃程度に加熱し、POCl₃やBBr₃などのソースから表面に不純物を供給して内部へ拡散させる方法で、現在も太陽電池などで使われます。2つ目のイオン注入は、不純物をイオン化して電界で加速し、ウェハに打ち込む方法で、量(ドーズ)と深さを精密に制御できるため、LSIの主流になっています。打ち込んだ後は熱処理(活性化アニール)で結晶の損傷を回復させ、ドーパントをシリコンの格子位置に置き換えて電気的に働かせます。3つ目は、エピタキシャル成長やCVDの原料ガスにドーパントを混ぜて膜と同時に取り込むin-situドーピングです。このほか、FinFETのような立体構造の側面に均一に入れるプラズマドーピングや、シリコン結晶の引き上げ時に融液へ加えてウェハ全体をp型・n型にする方法もあります。
トランジスタでは、ウェル、ソース・ドレイン、しきい値電圧を調整するチャネル、短チャネル効果を抑えるハローなど、場所ごとに種類・濃度・深さの異なるドーピングを重ねて素子を作ります。濃度を上げるほど抵抗は下がりますが、キャリアの移動度が低下し、シリコンに溶け込める上限(固溶限)を超えると電気的に働かなくなります。ドーピングの結果は、四探針法によるシート抵抗、SIMSによる深さ方向の濃度分布、ホール効果測定によるキャリア濃度で評価します。