BPSG(Borophosphosilicate Glass、ボロンリンシリケートガラス)とは、酸化シリコン(SiO₂)にボロン(B)とリン(P)を数%ずつ加えたガラス膜のことです。リンだけを加えたものはPSG(Phosphosilicate Glass)と呼びます。不純物を加えない酸化膜(NSG)と比べて低い温度で軟らかくなり、加熱すると流動して表面の段差をなだらかにできるのが最大の特徴です。
BPSGは、トランジスタを形成した後、最初の金属配線を作る前の層間絶縁膜(PMD:Pre-Metal Dielectric)に使われてきました。常圧・準常圧CVDでTEOSとオゾンに、ボロン源(TEB)とリン源(TEPO)などを加えて成膜し、800〜900℃程度で熱処理して流動させます(リフロー)。純粋な酸化膜は1000℃を超えても十分に流動しませんが、ボロンを加えることで流動する温度を下げられます。PSGやBPSGのリンには、トランジスタの特性を狂わせるナトリウムなどの可動イオンを捕まえる(ゲッタリングする)働きもあります。
濃度は一般にボロンとリンがそれぞれ数wt%程度で、高すぎると膜の中に結晶が析出して欠陥になったり、吸湿して膜質が変化したりします。1990年代以降、CMPによって表面を平坦にできるようになると、リフローによる平坦化の役割は小さくなりましたが、BPSGは埋め込み性とゲッタリング効果から、PMDとして今も一部の工程で使われています。高温のリフローは浅い接合の不純物を広げてしまうため、先端品では低温で成膜できる膜との組み合わせが工夫されています。