用語トランジスタ(個別半導体)最終更新 2026-10-09Excel・PDF版

ピンチオフとは

Pinch-off

ピンチオフとは、電界効果トランジスタでチャネルの一部が締め付けられるように消える現象です。MOSトランジスタでは、ドレインの電圧がVgs−Vthに達するとドレイン側の端で反転層が消え、それ以上電圧を上げても電流がほぼ一定の飽和領域になります。ピンチオフの位置の移動は、チャネル長変調の原因になります。

目次5項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ

定義・解説

ピンチオフとは、電界効果トランジスタ(FET)で、電流の通り道(チャネル)の一部が締め付けられるように消えてしまう現象です。英語の pinch(つまむ)に由来し、トランジスタの電流がそれ以上増えなくなる「飽和」が起こる理由になっています。

MOSトランジスタでは、ゲートの電圧でシリコンの表面に電子の層(反転層)を作り、それがチャネルになります。ドレインの電圧を上げていくと、ドレイン側ではゲートとの電圧の差が小さくなるため反転層が薄くなり、ドレインの電圧がゲートの電圧からしきい値電圧を引いた値(Vgs−Vth)に達すると、ドレイン側の端で反転層が消えます。これがピンチオフで、それ以上ドレインの電圧を上げても、その分は消えた部分(空乏層)にかかるだけなので、電流はほぼ一定になります(飽和領域)。

実際には、ドレインの電圧を上げるとピンチオフの位置がソース側に少しずつ移動し、チャネルが実質的に短くなるため、電流がわずかに増えます。これをチャネル長変調と呼びます。接合型FET(JFET)では、ゲートの電圧で両側から広がる空乏層がチャネルの中で合わさって通り道がふさがる電圧を、ピンチオフ電圧と呼びます。

図解

MOSトランジスタのドレイン電圧とピンチオフ、飽和領域・チャネル長変調の関係
JFETでは、両側の空乏層が合わさってチャネルがふさがる電圧をピンチオフ電圧と呼ぶ。

よくある質問(FAQ)

ピンチオフが起きても電流が流れ続けるのはなぜですか?
チャネルが消えた部分は空乏層になっていて、そこには強い電界がかかっています。チャネルの端まで来た電子は、この電界に引っぱられて空乏層を横切り、ドレインに流れ込むため、電流は止まりません。ただし、ドレインの電圧を上げてもチャネルの部分の電圧はほぼ変わらないため、電流はほぼ一定になります。
ピンチオフとチャネル長変調の関係は何ですか?
ドレインの電圧を上げると、ピンチオフの位置が少しずつソース側に移動し、電子が通る反転層の長さが実質的に短くなります。その分だけ電流がわずかに増え、飽和領域でも電流が完全には一定にならなくなります。これがチャネル長変調で、チャネルが短いトランジスタほど目立ちます。

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