アンチモン(Sb)とは

Antimony

最終更新:2026-09-28・イオン注入装置・エピタキシャル成長装置|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

アンチモン(Sb)とは?

アンチモン(Sb)とは、シリコンをn型にするドナーの一つで、リン・ヒ素より重く拡散が非常に遅いn型ドーパントです。エピ成長中に基板から染み出しにくいため、パワー半導体向けエピウェハの低抵抗n型基板や、バイポーラの埋め込み層に使われます。相変化メモリ材料(GST)や赤外線用InSbの構成元素でもあります。

定義・解説

アンチモン(Antimony、元素記号Sb)は原子番号51の15族(5族)元素で、シリコンではn型半導体を作るドナー(n型ドーパント)として使われます。リンやヒ素と同じくドナーですが、原子がさらに重く(原子量約122)、シリコン中での拡散がとても遅いのが特徴です。

この拡散の遅さを生かした代表的な用途が、エピタキシャルウェハの低抵抗n型基板(n⁺基板)です。パワーMOSFETなどに使うn/n⁺構造のエピタキシャルウェハでは、エピ層を成長させる高温の工程で基板から不純物が染み出すと、エピ層の抵抗が狂ってしまいます。拡散の遅いアンチモンはこの染み出し(オートドーピングや外方拡散)が少ないため、基板のドーパントとして使われます。ただしシリコンに溶け込める量(固溶限)が小さいため、アンチモンを加えた基板の抵抗率は0.01Ω·cm程度が下限で、さらに低い抵抗が必要な場合はヒ素や赤リンを加えた基板が使われます。バイポーラトランジスタやBiCMOSの埋め込み層(n⁺埋め込み層)にもアンチモンが使われてきました。

アンチモンは化合物半導体の構成元素でもあり、InSb(アンチモン化インジウム)は赤外線センサ、GaSbは赤外線デバイスの基板に使われます。相変化メモリでは、Ge₂Sb₂Te₅(GST)などアンチモンを含む合金が記録材料となり、鉛フリーはんだでは高温用のSn-Sb系合金にも使われます。アンチモンは生産が中国に集中しており、2024年に中国が輸出規制の対象としたことで、重要鉱物としての供給リスクが注目されています。

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よくある質問(FAQ)

アンチモン、ヒ素、リンの違いは何ですか?▾
3つともシリコンをn型にするドナーですが、原子の重さと拡散の速さが違います。リンは軽く拡散が速く、ヒ素は重く拡散が遅く、アンチモンはさらに重く最も拡散が遅い元素です。アンチモンは固溶限が小さく高濃度にできない一方、熱処理で動きにくいため、エピウェハの基板や埋め込み層に向いています。
アンチモンの供給リスクとは何ですか?▾
アンチモンの生産は中国に集中しており、2024年に中国が輸出規制の対象に加えたため、価格が高騰し供給不安が生じました。半導体では使用量は多くないものの、はんだや難燃剤など電子部品の材料にも使われるため、重要鉱物として調達先の分散が課題になっています。

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