ヒ素(As)とは

Arsenic

最終更新:2026-09-28・イオン注入装置・特殊ガス・プロセスガス|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

ヒ素(As)とは?

ヒ素(As)とは、シリコンをn型にするドナーで、重く拡散が遅いため、nMOSの浅く急峻なソース・ドレインに使われるn型ドーパントです。化合物半導体ではGaAsやInGaAsの構成元素でもあります。原料のアルシン(AsH₃)は毒性が極めて強く、ppbレベルでの漏えい管理と除害処理が必要です。

定義・解説

ヒ素(Arsenic、元素記号As)は原子番号33の15族(5族)元素です。シリコンではn型半導体を作るドナー(n型ドーパント)として、化合物半導体ではGaAs(ヒ化ガリウム)やInGaAs、AlGaAsなどの構成元素として使われます。

ドーパントとしてのヒ素の特徴は、原子が重く(原子量約75、リンの約2.4倍)、シリコン中での拡散が遅いことです。同じエネルギーで注入してもリンより浅い位置に止まり、熱処理でも広がりにくいため、nMOSトランジスタの浅く急峻なソース・ドレインやそのエクステンションに使われます。シリコンに溶け込める量(固溶限)が大きく、高濃度にしても電気的に働くため、低抵抗な領域を作れることも利点です。重いイオンは打ち込むだけで表面を非晶質化するため、チャネリングも起こりにくくなります。このほか、バイポーラトランジスタの埋め込み層や、低抵抗のn型シリコン基板のドーパントにも使われます。

イオン注入の原料にはAsH₃(アルシン)ガスや固体のヒ素が使われます。アルシンは極めて毒性が強く、許容濃度がppbレベルに定められているため、ガスを吸着材に吸わせて減圧で取り出す安全な容器や、漏えい検知器、除害装置で厳しく管理されます。化合物半導体の結晶成長(MOCVD)でも、アルシンや、より扱いやすい有機ヒ素原料(TBAs)が使われます。GaAsウェハの研削・研磨で出る汚泥や廃液にもヒ素が含まれるため、法令に基づく回収と処理が必要です。

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よくある質問(FAQ)

ヒ素がnMOSのソース・ドレインに使われるのはなぜですか?▾
ヒ素は原子が重く、シリコンの中での拡散が遅いため、熱処理後も浅く急峻な接合を保てるからです。固溶限が大きく高濃度でも電気的に働くため、ソース・ドレインの抵抗を下げられることも理由です。
半導体工場でヒ素はどのように管理されていますか?▾
原料のアルシンは極めて毒性が強いため、減圧で安全に取り出す専用容器、ガス漏えい検知器、排気の除害装置で多重に管理されます。GaAsの加工くずや廃液もヒ素を含むため、法令に基づいて回収・処理されます。

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