用語イオン注入装置特殊ガス・プロセスガス最終更新 2026-10-10出典 1件Excel・PDF版

ヒ素(As)とは

Arsenic

ヒ素(As)とは、シリコンをn型にするドナーで、重く拡散が遅いため、nMOSの浅く急峻なソース・ドレインに使われるn型ドーパントです。化合物半導体ではGaAsやInGaAsの構成元素でもあります。原料のアルシン(AsH₃)は毒性が極めて強く、ppbレベルでの漏えい管理と除害処理が必要です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

ヒ素(Arsenic、元素記号As)は原子番号33の15族(5族)元素です。シリコンではn型半導体を作るドナー(n型ドーパント)として、化合物半導体ではGaAs(ヒ化ガリウム)やInGaAs、AlGaAsなどの構成元素として使われます。

ドーパントとしてのヒ素の特徴は、原子が重く(原子量約75、リンの約2.4倍)、シリコン中での拡散が遅いことです。同じエネルギーで注入してもリンより浅い位置に止まり、熱処理でも広がりにくいため、nMOSトランジスタの浅く急峻なソース・ドレインやそのエクステンションに使われます。シリコンに溶け込める量(固溶限)が大きく、高濃度にしても電気的に働くため、低抵抗な領域を作れることも利点です。重いイオンは打ち込むだけで表面を非晶質化するため、チャネリングも起こりにくくなります。このほか、バイポーラトランジスタの埋め込み層や、低抵抗のn型シリコン基板のドーパントにも使われます。

イオン注入の原料にはAsH₃(アルシン)ガスや固体のヒ素が使われます。アルシンは極めて毒性が強く、許容濃度がppbレベルに定められているため、ガスを吸着材に吸わせて減圧で取り出す安全な容器や、漏えい検知器、除害装置で厳しく管理されます。化合物半導体の結晶成長(MOCVD)でも、アルシンや、より扱いやすい有機ヒ素原料(TBAs)が使われます。GaAsウェハの研削・研磨で出る汚泥や廃液にもヒ素が含まれるため、法令に基づく回収と処理が必要です。

図解

ヒ素(As)の特徴(拡散の遅さ・化合物半導体・原料ガスの毒性)と用途
リンより重く動きにくいため、浅い接合に向くn型ドーパント。

関連するデータ・ツール

データ拡散係数一覧(シリコン中のドーパント)

よくある質問(FAQ)

ヒ素がnMOSのソース・ドレインに使われるのはなぜですか?
ヒ素は原子が重く、シリコンの中での拡散が遅いため、熱処理後も浅く急峻な接合を保てるからです。固溶限が大きく高濃度でも電気的に働くため、ソース・ドレインの抵抗を下げられることも理由です。
半導体工場でヒ素はどのように管理されていますか?
原料のアルシンは極めて毒性が強いため、減圧で安全に取り出す専用容器、ガス漏えい検知器、排気の除害装置で多重に管理されます。GaAsの加工くずや廃液もヒ素を含むため、法令に基づいて回収・処理されます。

設備の製造メーカー

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

イオン注入・熱処理・化合物基板(SiC・GaN・サファイア) のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Applied Materials米国Wolfspeed米国コヒレント(Coherent Corp.)米国住友重機械イオンテクノロジー日本レゾナック(旧昭和電工)日本日新イオン機器日本

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東芝デバイス&ストレージ「1-3. n型半導体」(2026/10/10 確認)