ゲート容量とは、MOSトランジスタのゲート電極と、その下のチャネル・ソース・ドレインとの間にできる静電容量のことです。ゲート絶縁膜をはさんだコンデンサとして働き、ゲート電圧でチャネルの電荷を引き寄せる強さ(電流を流す能力)と、トランジスタを切り替えるときに充放電が必要な負荷の大きさの両方を決めます。
中心になるのは、ゲート絶縁膜による単位面積あたりの容量 Cox = ε/tox です。εは絶縁膜の誘電率、toxは膜厚です。ドレイン電流はおおむね Cox に比例するため、絶縁膜を薄くしてCoxを大きくすることが、トランジスタの性能向上の基本的な手段でした。SiO₂が薄くなりすぎてトンネル電流によるリークが増えると、誘電率の高いHigh-k材料に置き換え、物理的には厚いままCoxを稼ぐ方法がとられました。その性能はSiO₂換算の膜厚であるEOTで比較します。
実際のゲート容量は、Coxだけでなく、ゲートとソース・ドレインの重なり部分の容量(オーバーラップ容量)や、ゲート側面と周囲の配線・コンタクトとの間のフリンジ容量(寄生容量)を含みます。さらにチャネル側の空乏層や反転層の容量、ポリシリコンゲートの空乏化、量子効果によるチャネルの厚みが直列に入るため、実効的な容量はCoxより小さくなります。
回路の速度と消費電力にはゲート容量が直接効きます。ゲートを切り替えるたびに容量を充放電するため、スイッチング時の消費電力は容量×電圧²×周波数に比例し、遅延時間も容量に比例します。微細化が進んだ世代では、性能を左右するCoxを増やしつつ、寄生容量を減らすことが重要で、FinFETやGAAではゲートとコンタクトの間の寄生容量を下げるために低誘電率のスペーサーなどが使われます。
パワー半導体では、ゲート容量はゲートの入力容量Ciss、帰還容量Crss(ミラー容量)などに分けて仕様書に記載され、ゲートドライバの設計やスイッチング損失の計算に使われます。ゲート容量の測定には、MOSキャパシタやトランジスタのC-V測定が用いられます。