酸窒化膜(SiON:シリコン酸窒化膜)とは、シリコン酸化膜(SiO2)に窒素を加えた絶縁膜で、酸化膜と窒化膜(Si3N4)の中間の性質を持ちます。窒素の量で屈折率(約1.46〜2.0)や誘電率、エッチングのされやすさを調整できるのが特徴です。
代表的な用途はトランジスタのゲート絶縁膜です。90nm〜45nm世代では、薄い酸化膜にプラズマで窒素を入れる方法(プラズマ窒化)が使われました。窒素が入ると誘電率が上がって同じ容量を厚い膜で作れ(EOTを下げられ)、p型ゲートのポリシリコンからホウ素が突き抜けるのも防げます。その後、さらなる薄膜化ではリーク電流を抑えきれなくなり、ハフニウム系のhigh-k膜へ置き換わりましたが、high-k膜の下の界面層として今も使われています。
もう1つの用途はリソグラフィの反射防止膜(無機BARC、DARC)とハードマスクです。屈折率と吸収を調整することで、露光の光が下の膜で反射して寸法がばらつくのを抑えます。成膜はプラズマCVD(PECVD)で、シラン・亜酸化窒素・アンモニアなどの流量比で組成を決めます。