デュアルゲートとは、半導体の文脈では主に2つの意味で使われる言葉です。1つは、1つのチップの中で、膜厚の異なるゲート酸化膜や、仕事関数の異なるゲート材料を作り分ける製造技術(デュアルゲート酸化膜、デュアル仕事関数ゲート)。もう1つは、チャネルを上下または両側から2つのゲートで挟むトランジスタ構造(ダブルゲート)です。
デュアルゲート酸化膜は、CPUやSoCのように、高速で低電圧の内部回路と、高い電圧を扱う入出力(I/O)回路を同じチップに載せるために使われます。内部回路には薄い酸化膜、I/O回路には耐圧を確保できる厚い酸化膜が必要なため、まず全面に酸化膜を付け、薄くしたい領域だけをリソグラフィで開口して酸化膜を除去し、もう一度酸化して2種類の厚さを作ります。3種類の膜厚を作り分ける場合はトリプルゲート酸化膜と呼ばれます。
デュアル仕事関数ゲートは、nMOSとpMOSで仕事関数の異なるゲート材料を使い分ける技術です。両方のしきい値電圧を適切な値にするには、nMOSには伝導帯に近い、pMOSには価電子帯に近い仕事関数のゲートが必要になります。ポリシリコンゲートの時代はn型とp型に別々にドーピングしてこれを実現し、High-k/メタルゲートの世代では、nMOS用とpMOS用の仕事関数金属を作り分けています。
構造としてのダブルゲート(デュアルゲート)トランジスタは、チャネルを2つのゲートで挟むことで、1つのゲートだけで制御する平面型より短チャネル効果を抑えられます。チャネルを薄い板状にして両側からゲートで挟むFinFETは、この考え方を立体化したもので、さらに4方向から囲むのがGAA(ゲートオールアラウンド)です。
このほか、高周波用のデュアルゲートMOSFET(2つのゲートを直列に持ち、ミキサーや利得制御に使う)や、表示パネルの薄膜トランジスタ(TFT)で上下にゲートを持つ構造なども、デュアルゲートと呼ばれます。どの意味かは文脈で判断する必要があります。