最終更新 2026-10-19

二次元電子ガスとは(2DEG)

Two-Dimensional Electron Gas (2DEG)

二次元電子ガス(2DEG)とは、性質の異なる2つの半導体の境目に、電子がごく薄い層として集まり、面の方向にだけ自由に動ける状態です。AlGaAsとGaAs、AlGaNとGaNの界面が代表で、電子の密度が高く動きやすいため、高周波やパワー用のHEMTで電流の通り道として使われます。GaNではノーマリーオンになる点に注意が必要です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

二次元電子ガス(2DEG:Two-Dimensional Electron Gas)とは、性質の異なる2つの半導体の境目(ヘテロ界面)などに、電子がごく薄い層に閉じ込められて集まり、面の方向にだけ自由に動ける状態のことです。厚さの方向には動けず、平面の上だけを動き回るため「二次元」の電子の集まりと呼ばれます。HEMT(高電子移動度トランジスタ)は、この二次元電子ガスを電流の通り道として使います。

代表的な例は2つあります。1つはAlGaAsとGaAsの界面で、不純物を加えたAlGaAsの層から電子が隣のGaAsに移り、界面に集まります。電子は、不純物がいるAlGaAsから離れたGaAsの側を走るため、不純物にぶつかりにくく、非常に高い移動度を持ちます。この仕組みを使ったHEMTは1980年に富士通の三村高志らが発明しました。もう1つはAlGaNとGaNの界面で、材料が持つ分極という性質によって、不純物を加えなくても界面に高い密度(1cm²あたり10の13乗個程度)の電子が自然に集まります。

二次元電子ガスは、電子の密度が高く、しかも動きやすいため、高い周波数で動くトランジスタや、低い抵抗で大きな電流を流すパワートランジスタに向いています。GaNのHEMTは、スマートフォンの基地局や急速充電器に使われています。一方、GaNでは何もしなくても電子ガスができるため、そのままではゲートに電圧をかけなくても電流が流れる「ノーマリーオン」になり、パワー用途ではノーマリーオフにする工夫が必要です。物理の研究では、量子ホール効果の発見の舞台にもなりました。

図解

AlGaN障壁層とGaNチャネル層の界面に二次元電子ガスができるHEMTの断面構造
電子の密度は1cm²あたり10の13乗個程度で、不純物を加えなくても生じる。

よくある質問(FAQ)

二次元電子ガスの電子はなぜ動きやすいのですか?
AlGaAs/GaAsの場合、電子を供給する不純物はAlGaAsの層にあり、電子は界面を越えて不純物のいないGaAsの側を走るため、不純物にぶつかって散乱されにくいからです。このように不純物と電子が走る場所を分ける方法を変調ドープと呼びます。AlGaN/GaNでも、電子は不純物の少ないGaNの側を走ります。
GaNの二次元電子ガスはなぜ不純物なしでできるのですか?
GaNやAlGaNの結晶は、原子の並び方の性質から、もともと電気的な偏り(自発分極)を持ち、AlGaNの層がひずむとさらに偏り(ピエゾ分極)が生じます。この偏りの差によって界面に正の電荷が現れ、それを打ち消すように電子が集まるため、不純物を加えなくても高い密度の電子ガスができます。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 応用物理学会「GaN系高効率電子デバイスの開発動向(応用物理 81巻6号)」(2026/10/19 確認)
  2. 北海道大学(学位論文 越智亮太)「AlGaN/GaNヘテロ構造における表面・界面の評価および制御とトランジスタ応用」(2026/10/19 確認)