膜応力(内部応力)とは、ウェハの上に作った薄膜の中にたまっている、縮もうとする力や伸びようとする力のことです。膜が縮もうとしてウェハを内側に引っぱる状態を引張応力、膜が広がろうとしてウェハを外側へ押す状態を圧縮応力と呼びます。応力があるとウェハは反り、引張なら膜側がへこむように、圧縮なら膜側がふくらむように曲がります。
応力の原因は2つに分けられます。1つは成膜中に原子の並び方や密度、水素の量などで決まる真性応力、もう1つは高温で膜を作ってから冷やすときに、膜とシリコンの熱膨張係数の違いで生じる熱応力です。応力は、成膜前後のウェハの反り(曲率半径)を測り、ストーニーの式で計算するのが一般的です。
膜応力は、大きすぎるとウェハの反りによる露光の焦点ずれや搬送エラー、膜のひび割れやはがれ、アルミ配線のヒロックの原因になります。3D NANDのように厚い膜を何百層も重ねる構造では、反りの制御が大きな課題です。一方で、トランジスタの上に引張応力の窒化膜を載せてnMOSの電子の移動度を上げるなど、応力を性能向上に利用する技術(応力ライナー)もあります。プラズマCVDの窒化膜は、高周波の電力や周波数の組み合わせで応力を大きく変えられます。