ITOX(Internal Thermal Oxidation:内部熱酸化)とは、SIMOX法で作ったSOIウェハに、酸素を多く含む雰囲気で非常に高い温度(1,300℃以上)の熱処理を加え、埋め込み酸化膜(BOX)を内側から厚くし、その品質を高める技術です。SIMOX法の改良として日本で開発されました。
SIMOX(Separation by IMplanted OXygen)法は、シリコンウェハに酸素イオンを大量に注入し、高温で熱処理して内部に酸化膜の層を作る方法です。注入する酸素を減らす(低ドーズ)と結晶の欠陥は減りますが、埋め込み酸化膜が薄くなり、ピンホールなどの欠陥が残りやすいという問題がありました。ITOXでは、表面から拡散してきた酸素が埋め込み酸化膜とシリコンの界面で反応し、酸化膜が内側から成長するため、膜が厚くなると同時に、界面が滑らかになり、ピンホールも減ります。
ITOXにより、低ドーズのSIMOXでも品質の高いSOIウェハを作れるようになりました。ただし、現在のSOIウェハの主流は、膜の厚さを精密に制御でき、元のウェハを再利用できるスマートカット法(貼り合わせ方式)になっており、SIMOX・ITOXは一部の用途に限られています。