外国直接製品規則(FDPR:Foreign Direct Product Rule)とは、米国の輸出管理規則(EAR)の規定の一つで、米国外で製造された製品であっても、米国の技術やソフトウェアを直接使って作られた場合、または米国の技術で作られた製造装置を主要な設備とする工場で作られた場合に、その製品を米国の輸出管理の対象とするルールです。米国製の部品を含まない製品にまで規制を広げられるため、米国の輸出規制の「域外適用」を支える中心的な仕組みになっています。
もう一つの域外適用の仕組みであるデミニミス・ルールとの違いは、判断の基準にあります。デミニミス・ルールは、製品に含まれる米国製部品の価額の割合(一般に25%、対象によっては10%)を基準にします。これに対しFDPRは、製品を作る過程で米国の技術や装置を使ったかどうかを基準にするため、米国製の部品を一切含まない製品でも対象になりえます。半導体の製造にはEDAツールや製造装置など米国の技術が広く使われているため、FDPRの影響は非常に大きくなります。
半導体分野でFDPRが本格的に使われたのは2020年のHuawei向けの措置です。米国の技術や装置を使って作られたチップをHuaweiに供給することが許可制となり、TSMCをはじめとする米国外のファウンドリがHuawei傘下のHiSiliconからの受託製造を停止しました。その後、2022年10月の先端コンピューティング向け規制ではAI用の先端半導体とスーパーコンピュータ向けに、2024年12月には米国外で製造される半導体製造装置の一部にもFDPRが拡張されました。
FDPRは同盟国との摩擦の種にもなっています。米国の判断で日本やオランダの企業の製品までが規制対象になりうるためです。2024年12月の装置向けFDPRでは、自国で同等の輸出規制を導入している日本とオランダを適用対象から除外する措置が取られました。日本の装置メーカーにとっては、自社製品が米国の技術を使っているかどうかの確認と、日本の外為法による規制の両方に対応する必要があります。