用語製造プロセス最終更新 2026-10-10出典 1件Excel・PDF版

欧州半導体法(EU Chips Act)とは

European Chips Act

欧州半導体法(EU Chips Act)とは、2023年9月に発効したEUの半導体政策の根拠規則で、官民430億ユーロ超の投資を呼び込み、2030年までに世界生産シェアを約10%から20%に倍増させることを目標にしています。研究開発・製造施設の誘致・危機対応の3本柱で構成され、TSMCなどが出資するドレスデンのESMCが代表的な案件です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

欧州半導体法(European Chips Act)とは、EUの半導体産業の強化とサプライチェーンの強靭化を目的とした規則で、2023年9月に発効しました。官民合わせて430億ユーロ超の投資を呼び込み、世界の半導体生産に占める欧州のシェアを、当時の約10%から2030年までに20%へ倍増させることを目標に掲げています。米国のCHIPS法に対応する欧州版の半導体政策と位置づけられます。

同法は3つの柱で構成されています。(1)Chips for Europeイニシアティブ:研究開発から試作ライン(パイロットライン)、設計基盤、人材育成までを支援します。(2)供給の安全保障:欧州で初となる種類の製造施設(統合生産施設・オープンEUファウンドリ)を認定し、各国の国家補助を認めやすくします。(3)監視と危機対応:サプライチェーンを監視し、供給危機の際には情報収集や優先発注などの措置を取れるようにします。

同法の下で進む代表的な案件が、ドイツ・ドレスデンのESMC(European Semiconductor Manufacturing Company)です。TSMCが70%、Bosch・Infineon・NXPが各10%を出資する合弁会社で、車載・産業向けの成熟〜中堅ノードの工場を建設しています。一方、Intelがドイツ・マクデブルクで計画していた先端工場は2025年に計画中止が発表され、先端ロジックの誘致は目標どおりには進んでいません。

目標の実現性には疑問も出ています。欧州会計検査院は2025年の報告で、2030年に20%というシェア目標の達成は難しいとの見方を示しました。欧州は露光装置のASMLや、パワー半導体・車載半導体のInfineon・STMicroelectronics・NXPなど強い企業を抱える一方、先端ロジックの量産拠点を持たないことが課題とされています。こうした状況を受け、後継となる政策の見直しの議論も始まっています。

図解

欧州半導体法(EU Chips Act)の3本柱(研究開発・製造誘致・危機対応)
米国CHIPS法・日本の半導体戦略と並ぶ、地域の半導体政策。

よくある質問(FAQ)

欧州半導体法と米国CHIPS法の違いは何ですか?
どちらも補助金で域内の半導体生産を強化する政策ですが、CHIPS法は連邦政府が約527億ドルの予算を直接用意しているのに対し、欧州半導体法はEU予算に加えて加盟各国の国家補助を認めやすくする枠組みが中心です。また欧州半導体法は、供給危機時の監視と対応の仕組みを法律に組み込んでいる点が特徴です。
欧州の20%目標は達成できそうですか?
欧州会計検査院は2025年の報告で、2030年に20%の目標は達成が難しいとの見方を示しています。ESMCなどの案件は進んでいるものの、Intelのドイツ工場計画の中止など先端ロジックの誘致が計画どおりに進んでいないことが背景にあります。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 欧州委員会「European Chips Act」(2026/10/10 確認)