用語エピタキシャル成長装置MOCVD装置最終更新 2026-10-10出典 2件Excel・PDF版

バッファ層とは

Buffer Layer

バッファ層とは、基板とデバイスが動く層の間に挟み、材料の違いによる欠陥・ひずみ・割れを和らげる中間の層です。GaN-on-Siでは窒化アルミニウムやAlGaN、超格子を重ねてひずみを段階的に吸収します。SiCのエピタキシャル成長では欠陥の種類を変えてバイポーラ劣化を抑え、IGBTでは電界を止める層を指します。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

バッファ層とは、基板と、その上に作りたい層(デバイスが動く層)の間に挟む中間の層です。性質の違う2つの材料を直接重ねると、結晶の欠陥やひずみ、割れが生じるため、その違いを和らげる緩衝材(バッファ)の役割を果たします。

代表的なのはGaN-on-Si(シリコン基板の上の窒化ガリウム)です。GaNとシリコンは原子の間隔(格子定数)が大きく違い、熱で伸び縮みする割合も違うため、直接成長させると欠陥が多く、冷やすときにひび割れます。そこで、まず窒化アルミニウム(AlN)の薄い層を作り、その上にアルミニウムの量を少しずつ変えたAlGaNの層や、薄い層を何十回も繰り返した超格子を重ねて、ひずみを段階的に吸収してから、デバイス用のGaNを成長させます。シリコンの上にシリコンゲルマニウムを作るときも、組成を少しずつ変えたバッファ層が使われます。

SiCのエピタキシャル成長では、基板から伸びてくる欠陥(基底面転位)を、デバイスの特性に影響しにくい種類の欠陥に変えたり、デバイスの動作中に欠陥が広がる現象(バイポーラ劣化)を抑えたりするために、不純物を多く入れたバッファ層を設けます。また、IGBTでは、電界の広がりを止める濃いn型の層をバッファ層(フィールドストップ層)と呼びます。

図解

GaN-on-Siのバッファ層の断面構造(AlN核形成層・AlGaN/超格子・GaN)
層の構成はメーカーや用途によって異なる代表的な例。

よくある質問(FAQ)

GaN-on-Siでバッファ層が必要なのはなぜですか?
GaNとシリコンは原子の間隔と熱による伸び縮みの割合が大きく違い、直接重ねると欠陥が多くなり、成長の後に冷やすときにウェハが反ったりひび割れたりするからです。窒化アルミニウムやAlGaNの層を何段も重ねることで、ひずみを少しずつ吸収し、欠陥の少ないGaNを成長させます。
SiCのバッファ層は何のためにありますか?
SiCの基板には基底面転位という欠陥があり、これがデバイスの層まで伸びると、動作中に電流が流れて欠陥が広がり、特性が悪くなる(バイポーラ劣化)ことがあります。不純物を多く入れたバッファ層を設けて、この欠陥を影響の少ない種類に変えたり、欠陥に電流が届かないようにしたりします。

設備の製造メーカー

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

化合物基板(SiC・GaN・サファイア) のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Wolfspeed米国コヒレント(Coherent Corp.)米国レゾナック(旧昭和電工)日本SK Siltron韓国Veeco Instruments米国日亜化学工業日本

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 応用物理学会「GaNのエピタキシャル成長の実現まで(応用物理 82巻5号)」(2026/10/10 確認)
  2. 日本結晶成長学会「サファイア基板上のGaNのヘテロエピタキシー機構(ヘテロエピタキシー機構)(日本結晶成長学会誌 20巻4号)」(2026/10/10 確認)